2015年06月15日

<改正道交法:75歳以上の免許更新 認知症レベル確認強化>・・・良いことですが、現在まさに親の運転問題に悩んでいるご家族は、留意すべき点があります!

<改正道交法:75歳以上の免許更新 認知症レベル確認強化>  毎日新聞   2015年6月11日
 ◇「認知症の恐れ」の全員に医師の診断を義務化など
 75歳以上の高齢者が運転免許を更新する際に認知症の度合いの確認を強化する改正道路交通法が11日の衆院本会議で可決、成立した。免許更新時の検査で認知症の疑いがあると判断された全員に医師による診断を義務化し、問題なく更新された後も違反があれば検査を受ける制度が新設される。公布から2年以内に施行する。
 道交法は従来、認知症の場合の運転を禁じている。現行制度では、75歳以上で免許を更新する場合、高齢者講習の前に認知機能検査を受ける必要があり、進行度を「認知症の恐れがある」(第1分類)▽「認知機能が低下している恐れがある」(第2分類)▽「低下している恐れがない」(第3分類)−−の3段階に分けている。しかし第1分類と判定されても、過去1年間に逆走などの違反がなければ医師の診断を受ける必要がなかった。
 これに対し、改正道交法は、第1分類と判定された人に対して違反経験の有無にかかわらず医師の診断を求め、認知症と診断されると免許は取り消し・停止となる。また第2、第3分類の場合も、その後に一定の違反をすれば臨時の認知機能検査が義務づけられる。
 警察庁によると、75歳以上の免許保有者は約425万人(2013年末)。13年に認知機能検査を受けた約145万人のうち約3万5000人が第1分類と判定されたが、医師の診断を受けたのは524人だけで、最終的に免許を取り消し・停止されたのは118人だった。
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目 昨今、高速道路を逆走する高齢運転者が世間で取り上げられ社会問題になりました。
そこで、道路交通法が改正され、11日の衆院本会議で可決、成立しました。
理解力や判断力が低下する高齢者にたいする対策が強化されて、法制化されることは、本当に良いことだと思います。
 私も自分の父が認知症になり、老人の車の運転問題に対して切実な関心を持つ前であれば〜
「お上も、認知症老人の運転に対していろいろ考えているんだ!これからは、もうこれでウチの親が呆けてきても大丈夫だね!!」
〜なんて上記の記事を読んで、思って安心していたことでしょう。
 おそらく自分の親が認知症気味でない普通の人の感覚は、そんな感じなのではないでしょうか?

 しかし、自分の親が認知症になり、車の運転を止めさせることに真面目に対峙しなければならなくなった経験を持つ者としては、上記の記事が放つ「高齢者の運転問題に対する印象」に対しては、かなり危惧しています。
(言い方を変えれば、かなり留意して認識しておく必要があると言えるのです。)

<透けるお上の本音>
老人の運転問題を実際に経験した者として、この記事から感じられるのは〜
「社会問題化しちゃったから、何もしないわけにはいかないだろう。」
「対策を強化したという事で批判をやわらげろ!」
〜といった国交省や警察のお役人の本音が透けて見えているように思えてなりません。

 そもそも、道交法では「認知症」の場合「免許は取消、停止になる」ことになっているのです。
素人の感覚では、認知症の診断受けたら「免許は取消、停止になる」と思ってしまいます・・・
自分の親が認知症の診断を受ければ、当然警察に申し出れば「免許を取り消したり、停止してくれる」と期待して警察に行ってみても、実際の運用の現場では、そうは問屋が卸しませんでした。
私の父も認知症の診断を受けたので、警察に相談してみても、免許取消処分にはしてくれません。
人権上の配慮等の関係もあり、警察としても実態としては、やりたがりません。
 結果、自主返納を奨められます。
というかそれが家族の義務!当然!という感じに言われます。
(実際免許は取り上げてくれませんでしが、それでも警察には、免許の「自主返納」についての手助けをして頂きましたので、感謝しております、ハイ・・・)

 ところで、父の経緯をもう少し記載しておくと・・・
そもそも認知症という医師の診断をもらう一か月前程に、父の免許更新があったので、家族としては「75歳以上は更新に検査が導入されたらしいから、父のこんな理解力・判断力の状況では、きっと更新できないだろう!」などと軽く考えていました。
しかしながら、結果は違い!
病院で認知症の診断が出る老人ですら、アッサリ免許更新できてしまうのです。

 上記の記事にもあるように〜
「 警察庁によると、75歳以上の免許保有者は約425万人(2013年末)。13年に認知機能検査を受けた約145万人のうち約3万5000人が第1分類と判定されたが、医師の診断を受けたのは524人だけで、最終的に免許を取り消し・停止されたのは118人だった。」
〜今までの道交法の運用では、一年で「免許を取り消し・停止されたのは118人」だったわけです。
正直言って、ほとんど0%、取り消されたり停止されるのは、宝くじみたいな確率だったのです。
今後は、道交法が改正されて、今後は第一分類に判定される人達については、もうすこし厳しくなるのは良いのですが・・

<75歳以上の免許更新について、ご家族が認識しておくべきこととは!>
ここで気を付けなければいけないのは「75歳以上の老人が検査を受け、約145万2千人のうち約3万5千人が1分類」という点です。
たった2%くらいに過ぎません!
個人的には、どう考えても少なすぎるとしか思えないのですが・・・
今後も「75歳以上の老人が検査を受けて、98%の免許更新に来た老人は第一分類にすらならない」ことは変わりません。
これは、高齢者の家族は肝に銘じておかなければなりません。
免許更新時の認知機能検査は、本当に相当程度進んだ認知症で、どう考えても「こりゃだめだ」というレベルのごく僅かな人しかスクリーニングされません。
大多数の認知症老人は、逆に、大手を振ってお上からの「免許皆伝」を受け取る結果になってしまいます!

 切実な問題に直面していない方にとっては「どうでもいいジャン!」という感じでしょうが・・・
自分の親が認知症で運転を止めさせたいといった切実な状況の方にとっては、本当に大問題で、大きなネックになります!
「免許更新できる」ということは「お上が、まだあなたは運転して良いですよ!」とお墨付きを与えてくれることと同じわけですから、認知症高齢者本人を、どれだけ勢い付かせてしまうことか・・・
実際に、私も父が免許を更新できてしまい、愕然として(時すでに遅く)ようやく知ったのですが・・・
認知症の診断が出ている高齢者のご家族は、免許更新の前に、警察や免許試験場と相談して、免許の更新をストップしてもらう方向で働きかけることが有効(大事)なのです。
現在、認知症の親の運転免許問題でお困りで、免許更新の近い方は是非参考にして下さい。
決して「認知症の診断も出ているし、更新されるはずがない!」なんて一人合点してはいけませんよ!!

 たとえ、今後改正道路交通法で対策が取られたとしても、警察・国交省も免許を認知症高齢者から取り上げるという強権的な措置は積極的にはやりたがりませんので、本当に一握りの、今にも事故を起しそうな酷い認知症の患者に限られるでしょう。
さすがに、今のように免許取消や停止がたったの「118人」率にして「0.008%」という機能停止状態よりは良くなるのでしょうが・・・

そもそも改正道交法では対策として「医師の診断を受けさせる・・・」と気軽に書いてありますが、病識の無いことが多い認知症患者が医師の診断を簡単に受けるものやら?
受けない場合、強制的に免許更新させないことができるのかしら?
 いずれにせよ、現在そうであるように「認知症の診断が出ている老人でも大多数の人は、免許更新に行くと免許更新が出来てしまう」という状態は、大きな変化はないでしょう。

【結論】
上記の記事を読んで「うちの親が認知症になってももう大丈夫!お上が対策してくれているし!」などと思い込まない事です。
今までよりは、多少高齢者の運転について対策が図られることは確かですが、その対象になって免許の更新が出来ず「取消・免停」になるのは「氷山の一角」に過ぎないことを知っておきましょう!
認知症の診断が出ている親の運転をやめさせたいというような切実なご家族は、特に!


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2015年04月09日

<高齢運転者の認知症対策強化へ 改正道交法案を閣議決定> 

<高齢運転者の認知症対策強化へ 改正道交法案を閣議決定>    2015年3月10日 朝日新聞digital
 政府は10日、75歳以上の高齢者に対する運転免許制度を見直し、記憶力や判断力といった認知機能のチェックを強化する改正道路交通法案を閣議決定した。筆記式の検査で認知症の恐れがあると判定された全ての人に医師の診断を義務づけ、発症していたら免許を停止か取り消しにする。
 現行法は75歳以上の免許所有者に対して、3年に一度の免許更新時にペーパーテスト形式の「認知機能検査」を義務づけている。結果によって記憶力・判断力が低いと「1分類」に、少し低ければ「2分類」に、問題ないと「3分類」に分類。1分類で、道路の逆走や信号無視といった交通違反をした人に医師の診断を義務づけ、発症していたら免許を停止したり取り消したりしていた。
 改正案では、検査と医師の診断の機会を増やす。検査は従来の免許更新時に加えて、新たに政令で定める特定の交通違反をした時にも課す。また、1分類と判定された場合は交通違反の有無にかかわらず、全ての人に医師の診断を義務づける。
【道交法による認知症対策】
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 警察庁によると、2013年は約145万2千人が検査を受け、約3万5千人が1分類と判定された。医師の診断を受けたのは524人で、このうち118人が免許停止・取り消しになった。法改正によって年間3万人を超える人が医師の診断を受けることになり、免許を失う人が増える可能性が高い。
 13年の交通死亡事故は3854件で10年間で41・2%減ったが、75歳以上による死亡事故が占める割合は11・9%に倍増。警察庁の分析で、75歳以上による死亡事故の約3割で運転者の認知機能が不十分だった可能性があることもわかった。政府は認知機能の低下がお年寄りの事故に影響を与えているとみており、現行の検査ではお年寄りの運転適性を十分に把握できないと判断した。
 改正案には免許区分の変更も盛り込んだ。普通、中型、大型の3区分の普通と中型の間に、「準中型」を新設し、4区分とする。18歳で免許を取得できる新区分を設けて、若手の運転手不足が深刻な運送業界に応えた。
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目 昨今、高速道路を逆走する高齢運転者が世間で取り上げられ問題になりました。
そこで上記の記事のような対策がとられることになったという事ですから・・・
自分の父が認知症になり、老人の車の運転問題に対して切実な関心を持つ前の私でしたら〜
「お上も認知症老人の運転に対していろいろ考えているんだ!これからは、もう大丈夫だね・・・」
〜なんて上記の記事を読んで、思っていたことでしょう。
 おそらく自分の親などが認知症気味でない普通の人は、だいたいそんな感じなのではないでしょうか?

しかし、自分の親が認知症になり、車の運転を止めさせることに対峙しなければならなくなった者としては、(現在は苦労の末運転免許は返上させましたが)この記事に対して、とても危惧しています。
体験者として、この記事から感じられるのは〜
「社会問題化しちゃったから、何もしないわけにはいかないだろう。」
「対策を強化したという事で批判をやわらげろ!」
〜といった国交省や警察のお役人の本音が透けて見えているように思えてなりません。

 そもそも、現行の道交法でも「認知症」の場合「免許は取消、停止になる」ことになっているのですが、実際の運用では、そうなっていません。
私の父も認知症の診断を受けたので、警察に相談してみても、免許取消処分にはしてくれません、人権上の配慮等の関係もあり、警察としても実態としては、やりたがりません。
自主返納を奨められます。(というかそれが家族の義務!当然!という感じに言われます。)
実際免許は取り上げてくれませんが、それでも警察には、免許の「自主返納」についての手助けをして頂きましたので、感謝しております、ハイ!
ところで、そもそも認知症という医師の診断をもらう一か月前程に、父の免許更新があったので、家族としては「75歳以上は更新に検査が導入されたらしいから、父のこんな理解力・判断力の状況では、きっと更新できないだろう!」などと軽く考えていました。
しかしながら、結果は違い!
認知症の診断が出る老人ですら、アッサリ免許更新できてしまうのです。

 上記の記事にもあるように〜
「警察庁によると、2013年は約145万2千人が検査を受け、約3万5千人が1分類と判定された。医師の診断を受けたのは524人で、このうち118人が免許停止・取り消しになった。法改正によって年間3万人を超える人が医師の診断を受けることになり、免許を失う人が増える可能性が高い。」
〜個人的に言わせてもらえば、75歳以上の老人が検査を受け、約145万2千人のうち約3万5千人が1分類だそうです。
どう考えても少なすぎる戸しか思えないのですが・・・
(本当に免許停止・取り消しになったのは118人ですから何をかいわんや。)
たった2%くらいですから、98%の免許更新に来た老人は第一分類にすらならなかったわけで、いわば大手を振って「免許皆伝」となってしまいます。

 切実な問題に直面していない方にとっては「どうでもいいジャン!」という感じでしょうが・・・自分の親が認知症で運転を止めさせたいといった切実な状況の方にとっては、本当に大問題で、大きなネックになります!
「免許更新できる」ということは「お上が、まだあなたは運転して良いですよ!」とお墨付きを与えてくれることと同じわけですから、認知症高齢者本人をどれだけ勢い付かせてしまうことか・・・
実際に、父が免許を更新できてしまい、愕然としてから(時すでに遅く)ようやく知ったのですが・・・
認知症の診断が出ている高齢者のご家族は、免許更新の前に、警察や免許試験場と相談して、免許の更新をストップしてもらう方向で働きかけることが有効(大事)なのです。
現在、認知症の親の運転免許問題でお困りで、免許更新の近い方は是非参考にして下さい。
決して「認知症の診断も出ているし、更新されるはずがない!」なんて一人合点してはいけません。

 たとえ、今後上記の記事の対策が取られても、警察・国交省も免許を認知症高齢者から取り上げるという強権的な措置は積極的にはやりたがりませんので、本当に一握りの、今にも事故を起しそうな酷い認知症の患者に限られるでしょう。
さすがに、今のように免許取消や停止がたったの「118人」率にして「0.008%」という機能停止状態では無くなるのでしょうが・・・
また、上記の記事の対策として「医師の診断を・・・」と気軽に書いてありますが、病識の無いことが多い認知症患者が医師の診断を簡単に受けるものやら?
受けない場合、強制的に受けさせる方策はあるのかしら?
 いずれにせよ、現在そうであるように「認知症の診断が出ている老人でも大多数の人は、スルーして免許更新が出来てしまう」という状態は、大きな変化はないでしょう。

【結論】
上記の記事を読んで「うちの親が認知症になってももう大丈夫!お上が対策してくれているし!」などと思い込まない事です。
今までよりは、多少高齢者の運転について対策が図られることは確かですが、その対象になって免許の更新が出来ず「取消・免停」になるのは「氷山の一角」に過ぎないことを知っておきましょう!
認知症の診断が出ている親の運転をやめさせたいというような切実なご家族は、特に!


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2015年01月21日

<なぜ高齢ドライバーは高速道路を逆走するのか?> ← 高齢者の運転問題の解決策とは?

<なぜ高齢ドライバーは高速道路を逆走するのか?>    Driving News 2014年09月29日
高速道路を逆走する事件は、事故になっていないものも含めて全国各地で毎日のように発生しています。
普通では考えられない「逆走」はなぜ起きてしまうのでしょうか。
公益財団法人交通事故総合分析センター(通称ITARADA)では、高速道路上の逆走事故について調査を行っています。
【参考】危険な高速道路の逆走事故 ITARDA
それによると、高速道路の逆走事故は平成2年から平成12年までの10年間に4倍に増加しており、その致死率は高速道路上の事故全体の致死率が2.0%に対してなんと11.8%という高い値になっています。
逆走は当然、正しく走っている車との正面衝突の危険が高い状態です。
モータージャーナリストの菰田潔さんもJAMAGAZINEでこう語っています。
昨年のある日、高速道路を走っていたら電光表示板に2個の警告灯の点滅とともに「逆走車あり注意」という表示が出た。そのときは出会うことはなかったが、あとから聞いたら、高齢者が運転するクルマがどういうわけか本線を逆走してしまったようだ。
理由はどうであれ、高速道路で「逆走車あり」という表示を見たら、なるべく左側の車線を走るべきだ。その逆走車は左側通行のつもりで走るから、こちらから見ると右側を走ってくるはずだからだ。もし追い越し車線を走っていて先行車が急に左車線に移ったと思ったら目の前に対向車がいる、という状況では正面衝突は免れないだろう。お互いに時速100キロで走っていたとしたら、56メートル先に対向車が見えた1秒後にはクラッシュしているのだから。・・・
高齢ドライバーにみる交通事故とその原因、そして防止策 JAMA
どのような状況で逆走事故は起きるのか?
通常では考えられない「高速道路の逆走」はどのようにして起こるのでしょうか?
場所状況別の割合はこのようになっています。
インターチェンジ(IC)とジャンクション(JCT)(約40%)
分岐が複雑で道に迷ったり、間違えた道を戻ろうとしてしまったり、進入禁止の道へ侵入してしまったりという場合に逆走になってしまうようです。焦る気持ちはよくわかります。
サービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)(約30%)
SAやPAは入口も出口も一方通行ですが、出口ではなく入口から高速道路に出てしまい結果逆走してしまう車が多いようです。高齢者以外にも、仮眠後のトラックの運転手などにも多いパターンのようです。
本線(約20%)
本線上での逆走は「道の真ん中でUターン」することによって起きてしまいます。追い越し車線を対向車線と間違えて走行してしまうケースが多そうです。
・高速道路で逆走事故を起こす年齢層
高速道路上で逆走して事故を起こすのは高齢者というイメージを持つ方も多いと思います。
実は調査をみると、20代前半、30歳前後、50歳前後、65歳以降の高齢者とそれぞれの年齢で逆走事故はまんべんなく起きています。
事故の件数だけ見ると、高齢者とその他の年齢では件数は大きくは変わりませんが、高速道路上で起きる全死傷事故の割合と比較すると見え方が変わってきます。
高速道路上で起きる全死傷事故の内、高齢者が起こしたものは全体の約4%です。
ですが、ここから逆走事故のみを取り出してみると、その中の高齢者の割合は約30%にまで跳ね上がってしまうのです。
では、なぜこのように高齢者の高速道路の逆走事故は多いのでしょうか?
・高齢者が高速道路を逆走してしまう理由
交通事故総合分析センター(ITARADA)では逆走事故を起こした理由も調査しています。
それによると、高齢者が事故を起こす理由のほぼ全てが「何らかの疾患(痴呆等)のため」、「高速道路の利用方法が分からなかった」に当てはまっていました。
つまり、「認知症」、「知識不足」、「判断力不足」が高速道路を逆走してしまう原因なのです。
認知症や高速道路の正しい知識を持ち合わせない高齢者ドライバー、言い換えれば「運転する能力の低い高齢者ドライバー」はなぜ多いのでしょうか?
日本では、このような危険を減らすために、運転に不安を感じるようになった際に自主的に運転免許証を返納できる制度を設けています。
免許を返納すると、免許証に似せた「運転経歴証明書」が交付され、身分証明書や各種サービスの割引に使えるようになっています。
さらに認知症が明らかな時は、本人の意思とは関係なく運転免許証の免許取り消しも可能になっています。
しかし、なかなか運転免許証の返納が進まないのは高齢者ドライバーの「プライド」によるところが大きいのではないでしょうか。
長年運転してきて事故を起こさなかった自信とプライドがあるがゆえに、周りから「運転できない、免許を返した方がいい」と助言を受けても、素直に受け入れることができない方が多いように思います。
・危ない!と感じたときに高齢者に運転をやめてもらう方法
運転の腕に自信があってプライドが高い人に「運転をやめろ」「免許を返せ」と言っても間違いなく言うことを聞きませんし、プライドを傷つけずにうまく手放させる方法もないに等しいと思います。
とはいえ危険な状態を野放しにすることもできませんね。
ここで第一に考えなければならないのは「人の命」です。免許を返納する本人のプライドも、喧嘩によって家族に入るヒビも「人の命」には変えられません。
説明してもわかってもらえないときの最終手段として
車のキーを隠してしまう
車自体を売ってしまう
家族は絶対に同乗しない
目上の人(医師などの先生と呼ばれる人)に「運転はやめた方がいい」と言ってもらう
などの方法があります。
・まとめ
高齢者講習へ行かせるという方法もありますが、本人に「高齢者」や「運転できない」という意識がない場合は逆効果になってしまうこともあります。
自分は高速道路を逆走してしまうかもしれない、と思う人はまず高速道路には乗りませんし、自ら車の運転もやめるはずです。
高速道路で逆走事故を起こしてしまった人の多くは「自分は大丈夫」と思っていたのではないでしょうか?
もし、周囲に高齢者で運転している人がいたら認知症の有無や運転技術を確認してみてください。
少しでも危ないと感じたときはぜひ「運転させない」方向へ動き出しましょう。
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目非常に示唆に富む良い記事なのですが、解決策については、やはりどうしても一般論となってしまいます。
今回の高齢者の運転についての問題や高齢者が金融機関にダマされる問題・・・等々高齢者の理解力や判断力が衰えたことによる問題の解決策については概して〜
「本人の自覚を促す・・・」
「諭して分かってもらう・・・」
家族や周囲のフォロー・・・」
〜といった一般論に終始してしまいます。

目高齢者の運転問題に関しては、道交法上は「認知症=免許取消」と法改正されていますが・・・
高齢者の運転を取り巻く現実は以下の通り

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<認知機能検査で「認知症の恐れ」は受診義務化。高齢ドライバー、認知症チェックを強化> 認知症ねっと2015年1月19日
・認知症の疑いがあれば医師の診察を義務づける
警察庁は15日、道路交通法の改正試案を発表した。75歳以上の高齢者ドライバーに対する認知機能検査を強化し、認知症の疑いが見つかれば医師による診断書の提出を義務づける。
現行法では75歳以上の場合、3年ごとの運転免許更新時に認知機能検査を実施。「認知症のおそれがある」(1分類)「認知機能が低下しているおそれがある」(2分類)「低下のおそれなし」(3分類)の3段階による判定が行われる。
しかし認知症の疑いが強い1分類に判定されても、信号無視などの違反をしなければ医師の診断は不要で、運転を続けることが可能だ。
・逆走などの違反時にも臨時の検査を実施
改正案では、認知機能検査において1分類に判定された場合、医師の診断を義務化する。認知症と診断されれば、免許取り消しや停止処分となる。
また道路の逆走や信号無視など一定の違反を行った場合も、臨時の検査を実施する方針。
2013年の免許更新時の検査において、「認知症のおそれがある」1分類と診断されたのは約3万5,000人。そのうち、検査後に医師の診断書を提出したのは524人で全体のわずか1.5%。診察により認知症と診断され、運転免許が取り消しや停止処分となったのは118人だった。
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目免許更新対象の高齢者がどれくらいいるのか分かりませんが・・・
「〜2013年の免許更新時の検査において、「認知症のおそれがある」1分類と診断されたのは約3万5,000人。そのうち、検査後に医師の診断書を提出したのは524人で全体のわずか1.5%。診察により認知症と診断され、運転免許が取り消しや停止処分となったのは118人だった。〜」
結果として免許取消や停止処分になったのは118人ですから!
そもそも「認知症のおそれがある」1分類と診断されたのは約3万5,000人という人数ですら、現在の認知症高齢者の数を考えると免許更新者対象であることを考慮しても少なすぎるとしか思えません。
せめてこの3万5,000人だけは、本人のためにもご家族のためにも、取消にしてしかるべきだと思います
こういった状況を見ると、車の運転という人の命に関わる問題ですら、個人的に言わせてもらえれば高齢者対策は「ほとんど機能していない」という状況と言えるでしょう。

家族に認知症患者がいる方でもない限り、なかなか実感できないのが、認知症患者の病識の無さです。
認知症の場合多くは、本人は「全く運転適性が無くなっている」などと自覚しませんから〜
・本人が自ら自覚して運転免許返上
・家族の説得で運転止める
〜といった「話せばわかる」的解決策は、効果がありません。
家族が無理強いすると家庭崩壊も招きかねませんし・・・

 <高齢者の運転問題の解決策>
やはり、高齢者の交通事故問題の具体的な解決策としては、医学的に「認知症」の診断が出ている患者に対しては、道交法どうりに「免許取消」処分を速やかに行う事が肝要でしょう。
日本では戦前の反省なのか、官僚の事勿れ主義の反映なのか・・・理由はどうあれ、公権力の行使を必要以上に、ためらう傾向があります。
そのことが、本来然るべき公権力を行使していれば、避けられる被害を拡大しています。
せっかく「認知症になったら免許は取消」と決めたわけですから、その法の実効性を担保して欲しいものです。
似たようなケースに「児童虐待問題」があります。
児童虐待に関しても虐待から児童を守るために、児童虐待の恐れがあれば、児童相談所が強制立ち入りをできる(しなければならない)ように法改正が行われたにもかかわらず、実際に児童虐待の恐れがあっても、強制立ち入りすることは数えるほどしかありません。
これも問題の根っこは同じです。
せっかく問題解決のために法も改正しても現実の運用段階で適用されるのは、極々僅かなケースだけというのでは、事実上法改正前と大差ありません。
「認知症=免許取消」などと法で定めて、溜飲を下げても、実際には小指の爪の先位の人数しか現実には免許取消をされないのでは、高速道路が逆走車だらけ、街で高齢者の事故だらけという実態は変わっていきません。


目このような悲劇をどれだけ繰り返せば「認知症=免許取消」という道交法を実効性ある運用にするのでしょう?

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<88歳高速逆走「どこから乗ったかわからない」>  2015年01月20日 yomiuri online
19日午後6時50分頃、佐賀県神埼市の長崎自動車道東脊振インターチェンジ(IC)―佐賀大和IC間上り線の城原じょうばるトンネル(長さ約200メートル)の出入り口付近で、逆走してきた福岡県八女市黒木町の男性(88)の乗用車など計5台が絡む衝突事故が起きた。
男性と、ワゴン車に乗っていた福岡市博多区美野島の会社員(25)の2人が負傷。事故の影響で、同IC間の上り線は約3時間半にわたって通行止めとなった。佐賀県警は逆走の理由などを調べているが、男性は「どこから(高速に)乗ったかわからない」と話しているという。
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