「お金はちゃんと返してもらわないと。自己破産はしないでくださいね」
スルガ銀行の東京都内の支店。同行から借りた「アパートローン」といわれる賃貸住宅の購入資金の返済が行き詰まり、今年1月に金利の引き下げを求めにいった大阪市の男性会社員(32)に対して、行員はこう言い放った。
男性は平成27年12月、東京都足立区の貸家物件を年収の10倍近い8600万円で購入した。貸家はシェアハウスで、共同のキッチンなどを設けることで間取りを節約し、小さな敷地でも、多くの居住者を住まわせられ、投資物件として注目を集めていた。
足立区の物件を販売・管理したのは破綻したスマートデイズとは異なるシェアハウスを専門的に行う都内の不動産業者だったが、融資を扱っていたのはスルガ銀だった。
物件を一括借り上げしてもらい、入居者がいなくても、家賃収入を保証する「サブリース」契約をこの業者と結んだ。得られる家賃収入は月56万円。年約8%の高利回りが購入の決め手だった。
ところが、賃料の支払いが昨年12月に突然、停止した。不動産業者の資金繰りの悪化が原因。物件購入を後押ししていたスルガ銀が融資に慎重になり、新規物件の販売がふるわず、既存物件の運営でも賃料を賄えなくなった。スマートデイズの「かぼちゃの馬車」と同じような構図だった。
「そもそも銀行が物件の収益性を見抜いて融資を見送っていれば、こんな事態は起きていないのではないか」
男性会社員は、今後、29年続く月39万円の返済に途方に暮れる。スルガ銀には貸し手としての責任を問う声が上がっている。
・貸し出し、大手より多く
ただアパートローンに目を付けたのはスルガ銀だけではない。日銀の黒田東彦総裁が打ち出した異次元の金融緩和に伴う超低金利政策により、一般の住宅ローンや企業向け融資の利幅は縮小。新たな収益源として、多くの地銀が群がった。
全国地方銀行協会に加盟する地方銀行と第二地方銀行協会に加盟する第二地銀は現在、あわせて104行。アパートローン残高は14兆6675億円(3月末時点、当時は105行)と全体の6割を占め、大手行より多い。
メガバンクが地方店舗の統廃合を進め、グローバル企業への融資など国際業務に傾斜する一方、金融庁は地銀を中小企業への支援などを通じて地方経済の活性化を促す担い手として期待を寄せる。しかし、理想と現実には溝がある。
金融庁の調査によると、地域銀行(地銀、第二地銀、埼玉りそな銀)の平成29年3月期の不動産、貸家業への貸出額は前期より約3兆円増えた一方で、製造業向けは数千億円規模で減少。「アパートローンを含む不動産融資、高リスクの有価証券運用の拡大などで足元の利益を確保する動きが広がっている」と分析する。派手な宣伝を展開していた銀行カードローン融資の貸出残高も地域銀行が44.8%を占め、2兆円近くある。
「中小企業の支援の費用を賄うためには結局、どこかで稼がなくてはならない。きれいごとでは済まされない」。ある金融機関のOBはこう語る。
不適切な融資が発覚したスルガ銀。不祥事は同行だけの問題だが、超低金利時代の苦境の中で、異変が起きる地銀の姿をあぶり出している。
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高い収益力で評価を得ていた地方銀行のスルガ銀(静岡県沼津市)が金融庁の検査を受け、シェアハウスをめぐる融資姿勢を問われる事態になっている。また日銀の黒田東彦総裁も再任され、超低金利の局面は長期化。人口減少とともに収益環境が悪化する中、地銀が直面する問題を探る−。
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<マンション家賃踏み倒す“モンスター店子”の壮絶な実態 消費者法を逆手…難癖つけ、ゴネて“飛ぶ”> 産経新聞 2013/3/20
賃貸住宅で家賃滞納者を強制的に追い出す行為が問題となっているが、一方で悪質な入居者による家賃未払いが相次ぎ、不動産業者側が対応に苦慮している実態はあまり知られていない。さまざまな理由をつけて家賃を払わず、夜逃げ同然に姿を消す入居者。裁判に持ち込んでも相手に支払い能力がなかったり、法的な制約があったりで滞納分が返ってくるケースはほとんどない。年間数千万円の被害を“かぶる”業者もおり、経営を圧迫する事態にもなっているが、抜本的な解決策がないのが実情だ。
昨年11月、家賃滞納者の退去をめぐる訴訟の判決が大阪地裁であった。家賃を滞納すれば、借り主に無断で部屋の鍵の交換や持ち物の処分ができると定めた契約条項が消費者契約法に違反するとして、NPO法人「消費者支援機構関西」が不動産開発・管理会社「明来(あき)」(大阪市)に条項の使用差し止めを求めたのだ。いわば、賃貸業者の「追い出し行為」の違法性を問う訴訟だったが、大阪地裁は「すでに条項を使用しないと表明している」などとして、ほとんどの原告側請求を棄却した(原告側は控訴)。
消費者契約法は第10条で「消費者の利益を一方的に害する行為は無効とする」などと定めており、強制的な追い出し行為はこれに当たる可能性がある。しかし今回の訴訟や賃貸業者側の主張を通して見えてきたのは、確信犯的に家賃を払わなかったり、「ごね得」を通したりと、入居者側にも悪質な行為が多々あるという実態。いわば“モンスター店子”ともいうべき借り主たちの存在だ。
「最初から家賃を踏み倒すつもりで借りる人もいる。借りたその月から払わず、電話連絡しても出ないし、督促状を郵送しても音沙汰なし。入居の際には収入や保証人などをチェックするが、最後は“飛んで”しまう(未納のまま姿を消し所在地が分からなくなる)借り主が多く、打つ手がない」。同社の藤田精(たくみ)社長はこう話す。
同社によると、管理する約3000室のうち、約30%は家賃を滞納したり、督促してやっと入金されたりと、何らかの問題がある入居者だという。さらに全体の3〜5%が支払う意思がないなど「完全滞納」に該当。年間でそうした悪質な滞納は40〜50件、滞納額は約2000万円にも上るという。
具体的な事例からは、入居者のあきれるばかりのモラル欠如の実態が見て取れる。20代前半の風俗関係の女性は家賃15万円の1LDKの部屋に入居していたが、家賃滞納が続き、支払い督促にも応じず、滞納額や退去時の支払額の合計が160万円を超えた。その結果、明来側が家賃などの支払いを求め、相手側も督促で苦痛を感じたとして慰謝料を求めるなど双方が提訴する事態に。結局、明来側が勝訴したが、女性は転居し所在が分からなくなり、未納分は返ってこなかった。
20代半ばの水商売の女性の場合、家賃を3カ月滞納、連絡にも応答しなくなった。担当者が部屋を見に行くと中から犬のなき声が聞こえる。どうやら飼い犬を室内に残してどこかへ行ったようだ。数日間様子を見たが、部屋への出入りが確認できなかったため犬を保護した。ところがその後に女性が現れ、「犬を盗まれた」と警察に訴えた結果、和解金を支払うはめになったという。
このほか、「上階の人がうるさいが、対応してくれなかった」「(督促を受けた時)こちらから電話したが、担当者が来なかった」など、あれこれ“難癖”をつけ家賃を払わないクレーマーのような入居者も多い。
昨年、家賃3カ月分など30万円を滞納して“逃げた”20代の男性については、保証人からたどって居場所を発見。支払いの訴訟を起こし簡裁、地裁と勝訴したが、いまだに滞納分の支払いはないという。訴訟で男性側は「換気扇に雨が当たる音がうるさく、管理ができていない」などと細かくクレームをつけてきたが、認められなかった。
明来の担当者は「裁判に持ち込んでも判決まで数年かかることがある。経費がかさむし、部屋を開けてない入居者との係争ではその間の家賃も払われない。たとえ勝っても相手がいなくなったり、支払い能力がなかったりで未払いの額が返ってくることはまれで、労多くしてメリットはあまりない」と嘆く。
入居者が“飛んで”しまったようなケースでも通常、部屋を鍵で開けたり、残った荷物や家具を整理するのは裁判所の手続きを踏んで行うが、それだと家賃などが保証されないまま数カ月かかることが多い。そこで業者側の判断で電話連絡や督促の郵送、部屋への出入り確認など手順を踏んだ上で部屋へ立ち入り、写真を撮ったり、荷物を倉庫で保管したりする場合もある。
のちのトラブルを避けるためのやむを得ぬ手段だが、それでもトラブルは起きる。連絡のとれなくなった入居者の女性の部屋を調べたところ、ゴミ袋が3つあった。完全に出ていったと判断し、それらを処分したところ、半年ほどたって女性が現れ、「袋の中には百数十万円のブランドものバッグが入っていた」として損害賠償請求を起こされたという。
不動産・賃貸業界の関係者によると、業者と借り主の関係でいえば、どうしても“弱者”である消費者を守るという観点から借り主が「善」、業者が「悪」というイメージでとらえられてきた面があるという。
しかし、藤田社長は「わざと滞納しても3カ月程度で追い出すことはできないと、消費者契約法を逆手にとって確信犯的に家賃を滞納する悪質な借り主が増えている。分不相応な高額の部屋を借りている人に多く、こちらが安い部屋に移ることを提案しても聞く耳を持たない」と実情を明かす。
それでも、賃貸業者側が不正の実態を根気よく訴えてきたことで、最近は裁判でも業者の主張を認める判例が増えてきたという。裏を返せば、それだけ店子の不正が目立っているということかもしれない。
「わざと滞納する人はよそに移っても同じことをやっている。これまで民事訴訟で対応してきたが、悪質なケースには詐欺罪適用が認めらるようになってほしい」と藤田社長。スーパーの万引被害などと同様、家賃の未回収は賃貸業者の経営を圧迫する事態ともなるだけに、深刻な問題だ。
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👀 金融機関同様、高齢者をターゲットにしてくる業種の代表格は「不動産業」です。
高齢者の「資産運用」「相続対策」・・・と謳って、賃貸住宅の建設などを勧誘してくることが多いものです。
最近では、相続税の基礎控除の改正があったことも、不動産業者が高齢者を積極的に勧誘する一因となっています。
確かに相続対策には、賃貸経営などを上手に利用することで相当な効果が上げられるケースがあることは言うまでもありません。
<勧誘時には、リスクは隠して、良いことしか言いません!>
一方「不景気の長期化」・「高齢化」などの影響から、上記の記事のように、近年不動産賃貸業のリスクは、かつてなく高くなってきているというようなことは、不動産業者は勧誘時には殆ど語りません。
高まる「賃料踏み倒しリスク」は全く度外視した収支予想に基づき資金計画を立てた賃貸経営は、短期的にはうまく行く様に思えても、いずれ破綻してしまう結果に至ります。
不動産業は、金融機関以上にコンプライアンスに欠け、荒っぽい業界であることは周知の事実です!
少し前までは「千三つ屋」と呼ばれる業界であったことは覚えておいた方が良いでしょう。(・・・千のうち三つしか本当のことを言わないという意味)
少し理解力・判断力が衰えてきた高齢者など、赤子の腕をひねる様にダマされてしまいます。
不動産の場合、金融商品以上にそのもたらす結果は、取り返しがつかず深刻な事態に至ることが少なくありませんので、高齢者本人はモチロン・・・ご家族も十分に気を付け、高齢者の不動産取引には必要な関与を怠らないようにしましょう。
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