2018年09月26日

不動産業者にダマされないために賃貸経営の実態を知っておきましょう・・・<相続税対策に建設相次ぐアパート 思わぬ落とし穴が待っていた!> 

<シェアハウスで8600万円を借りた……アパートローンに群れた地銀 >     2018年05月22日 産経新聞
 「お金はちゃんと返してもらわないと。自己破産はしないでくださいね」
 スルガ銀行の東京都内の支店。同行から借りた「アパートローン」といわれる賃貸住宅の購入資金の返済が行き詰まり、今年1月に金利の引き下げを求めにいった大阪市の男性会社員(32)に対して、行員はこう言い放った。
 男性は平成27年12月、東京都足立区の貸家物件を年収の10倍近い8600万円で購入した。貸家はシェアハウスで、共同のキッチンなどを設けることで間取りを節約し、小さな敷地でも、多くの居住者を住まわせられ、投資物件として注目を集めていた。
 足立区の物件を販売・管理したのは破綻したスマートデイズとは異なるシェアハウスを専門的に行う都内の不動産業者だったが、融資を扱っていたのはスルガ銀だった。
物件を一括借り上げしてもらい、入居者がいなくても、家賃収入を保証する「サブリース」契約をこの業者と結んだ。得られる家賃収入は月56万円。年約8%の高利回りが購入の決め手だった。
 ところが、賃料の支払いが昨年12月に突然、停止した。不動産業者の資金繰りの悪化が原因。物件購入を後押ししていたスルガ銀が融資に慎重になり、新規物件の販売がふるわず、既存物件の運営でも賃料を賄えなくなった。スマートデイズの「かぼちゃの馬車」と同じような構図だった。
 「そもそも銀行が物件の収益性を見抜いて融資を見送っていれば、こんな事態は起きていないのではないか」
 男性会社員は、今後、29年続く月39万円の返済に途方に暮れる。スルガ銀には貸し手としての責任を問う声が上がっている。
・貸し出し、大手より多く
 ただアパートローンに目を付けたのはスルガ銀だけではない。日銀の黒田東彦総裁が打ち出した異次元の金融緩和に伴う超低金利政策により、一般の住宅ローンや企業向け融資の利幅は縮小。新たな収益源として、多くの地銀が群がった。
全国地方銀行協会に加盟する地方銀行と第二地方銀行協会に加盟する第二地銀は現在、あわせて104行。アパートローン残高は14兆6675億円(3月末時点、当時は105行)と全体の6割を占め、大手行より多い。
 メガバンクが地方店舗の統廃合を進め、グローバル企業への融資など国際業務に傾斜する一方、金融庁は地銀を中小企業への支援などを通じて地方経済の活性化を促す担い手として期待を寄せる。しかし、理想と現実には溝がある。
 金融庁の調査によると、地域銀行(地銀、第二地銀、埼玉りそな銀)の平成29年3月期の不動産、貸家業への貸出額は前期より約3兆円増えた一方で、製造業向けは数千億円規模で減少。「アパートローンを含む不動産融資、高リスクの有価証券運用の拡大などで足元の利益を確保する動きが広がっている」と分析する。派手な宣伝を展開していた銀行カードローン融資の貸出残高も地域銀行が44.8%を占め、2兆円近くある。
 「中小企業の支援の費用を賄うためには結局、どこかで稼がなくてはならない。きれいごとでは済まされない」。ある金融機関のOBはこう語る。
 不適切な融資が発覚したスルガ銀。不祥事は同行だけの問題だが、超低金利時代の苦境の中で、異変が起きる地銀の姿をあぶり出している。

高い収益力で評価を得ていた地方銀行のスルガ銀(静岡県沼津市)が金融庁の検査を受け、シェアハウスをめぐる融資姿勢を問われる事態になっている。また日銀の黒田東彦総裁も再任され、超低金利の局面は長期化。人口減少とともに収益環境が悪化する中、地銀が直面する問題を探る−。
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<マンション家賃踏み倒す“モンスター店子”の壮絶な実態 消費者法を逆手…難癖つけ、ゴネて“飛ぶ”> 産経新聞 2013/3/20
 賃貸住宅で家賃滞納者を強制的に追い出す行為が問題となっているが、一方で悪質な入居者による家賃未払いが相次ぎ、不動産業者側が対応に苦慮している実態はあまり知られていない。さまざまな理由をつけて家賃を払わず、夜逃げ同然に姿を消す入居者。裁判に持ち込んでも相手に支払い能力がなかったり、法的な制約があったりで滞納分が返ってくるケースはほとんどない。年間数千万円の被害を“かぶる”業者もおり、経営を圧迫する事態にもなっているが、抜本的な解決策がないのが実情だ。
 昨年11月、家賃滞納者の退去をめぐる訴訟の判決が大阪地裁であった。家賃を滞納すれば、借り主に無断で部屋の鍵の交換や持ち物の処分ができると定めた契約条項が消費者契約法に違反するとして、NPO法人「消費者支援機構関西」が不動産開発・管理会社「明来(あき)」(大阪市)に条項の使用差し止めを求めたのだ。いわば、賃貸業者の「追い出し行為」の違法性を問う訴訟だったが、大阪地裁は「すでに条項を使用しないと表明している」などとして、ほとんどの原告側請求を棄却した(原告側は控訴)。
 消費者契約法は第10条で「消費者の利益を一方的に害する行為は無効とする」などと定めており、強制的な追い出し行為はこれに当たる可能性がある。しかし今回の訴訟や賃貸業者側の主張を通して見えてきたのは、確信犯的に家賃を払わなかったり、「ごね得」を通したりと、入居者側にも悪質な行為が多々あるという実態。いわば“モンスター店子”ともいうべき借り主たちの存在だ。
 「最初から家賃を踏み倒すつもりで借りる人もいる。借りたその月から払わず、電話連絡しても出ないし、督促状を郵送しても音沙汰なし。入居の際には収入や保証人などをチェックするが、最後は“飛んで”しまう(未納のまま姿を消し所在地が分からなくなる)借り主が多く、打つ手がない」。同社の藤田精(たくみ)社長はこう話す。
 同社によると、管理する約3000室のうち、約30%は家賃を滞納したり、督促してやっと入金されたりと、何らかの問題がある入居者だという。さらに全体の3〜5%が支払う意思がないなど「完全滞納」に該当。年間でそうした悪質な滞納は40〜50件、滞納額は約2000万円にも上るという。
 具体的な事例からは、入居者のあきれるばかりのモラル欠如の実態が見て取れる。20代前半の風俗関係の女性は家賃15万円の1LDKの部屋に入居していたが、家賃滞納が続き、支払い督促にも応じず、滞納額や退去時の支払額の合計が160万円を超えた。その結果、明来側が家賃などの支払いを求め、相手側も督促で苦痛を感じたとして慰謝料を求めるなど双方が提訴する事態に。結局、明来側が勝訴したが、女性は転居し所在が分からなくなり、未納分は返ってこなかった。
 20代半ばの水商売の女性の場合、家賃を3カ月滞納、連絡にも応答しなくなった。担当者が部屋を見に行くと中から犬のなき声が聞こえる。どうやら飼い犬を室内に残してどこかへ行ったようだ。数日間様子を見たが、部屋への出入りが確認できなかったため犬を保護した。ところがその後に女性が現れ、「犬を盗まれた」と警察に訴えた結果、和解金を支払うはめになったという。
 このほか、「上階の人がうるさいが、対応してくれなかった」「(督促を受けた時)こちらから電話したが、担当者が来なかった」など、あれこれ“難癖”をつけ家賃を払わないクレーマーのような入居者も多い。
 昨年、家賃3カ月分など30万円を滞納して“逃げた”20代の男性については、保証人からたどって居場所を発見。支払いの訴訟を起こし簡裁、地裁と勝訴したが、いまだに滞納分の支払いはないという。訴訟で男性側は「換気扇に雨が当たる音がうるさく、管理ができていない」などと細かくクレームをつけてきたが、認められなかった。
 明来の担当者は「裁判に持ち込んでも判決まで数年かかることがある。経費がかさむし、部屋を開けてない入居者との係争ではその間の家賃も払われない。たとえ勝っても相手がいなくなったり、支払い能力がなかったりで未払いの額が返ってくることはまれで、労多くしてメリットはあまりない」と嘆く。
 入居者が“飛んで”しまったようなケースでも通常、部屋を鍵で開けたり、残った荷物や家具を整理するのは裁判所の手続きを踏んで行うが、それだと家賃などが保証されないまま数カ月かかることが多い。そこで業者側の判断で電話連絡や督促の郵送、部屋への出入り確認など手順を踏んだ上で部屋へ立ち入り、写真を撮ったり、荷物を倉庫で保管したりする場合もある。
 のちのトラブルを避けるためのやむを得ぬ手段だが、それでもトラブルは起きる。連絡のとれなくなった入居者の女性の部屋を調べたところ、ゴミ袋が3つあった。完全に出ていったと判断し、それらを処分したところ、半年ほどたって女性が現れ、「袋の中には百数十万円のブランドものバッグが入っていた」として損害賠償請求を起こされたという。
 不動産・賃貸業界の関係者によると、業者と借り主の関係でいえば、どうしても“弱者”である消費者を守るという観点から借り主が「善」、業者が「悪」というイメージでとらえられてきた面があるという。
 しかし、藤田社長は「わざと滞納しても3カ月程度で追い出すことはできないと、消費者契約法を逆手にとって確信犯的に家賃を滞納する悪質な借り主が増えている。分不相応な高額の部屋を借りている人に多く、こちらが安い部屋に移ることを提案しても聞く耳を持たない」と実情を明かす。
 それでも、賃貸業者側が不正の実態を根気よく訴えてきたことで、最近は裁判でも業者の主張を認める判例が増えてきたという。裏を返せば、それだけ店子の不正が目立っているということかもしれない。
 「わざと滞納する人はよそに移っても同じことをやっている。これまで民事訴訟で対応してきたが、悪質なケースには詐欺罪適用が認めらるようになってほしい」と藤田社長。スーパーの万引被害などと同様、家賃の未回収は賃貸業者の経営を圧迫する事態ともなるだけに、深刻な問題だ。
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👀 金融機関同様、高齢者をターゲットにしてくる業種の代表格は「不動産業」です。
高齢者の「資産運用」「相続対策」・・・と謳って、賃貸住宅の建設などを勧誘してくることが多いものです。
最近では、相続税の基礎控除の改正があったことも、不動産業者が高齢者を積極的に勧誘する一因となっています。
確かに相続対策には、賃貸経営などを上手に利用することで相当な効果が上げられるケースがあることは言うまでもありません。

<勧誘時には、リスクは隠して、良いことしか言いません!>
 一方「不景気の長期化」・「高齢化」などの影響から、上記の記事のように、近年不動産賃貸業のリスクは、かつてなく高くなってきているというようなことは、不動産業者は勧誘時には殆ど語りません。
高まる「賃料踏み倒しリスク」は全く度外視した収支予想に基づき資金計画を立てた賃貸経営は、短期的にはうまく行く様に思えても、いずれ破綻してしまう結果に至ります。

不動産業は、金融機関以上にコンプライアンスに欠け、荒っぽい業界であることは周知の事実です!
少し前までは「千三つ屋」と呼ばれる業界であったことは覚えておいた方が良いでしょう。(・・・千のうち三つしか本当のことを言わないという意味)
少し理解力・判断力が衰えてきた高齢者など、赤子の腕をひねる様にダマされてしまいます。
不動産の場合、金融商品以上にそのもたらす結果は、取り返しがつかず深刻な事態に至ることが少なくありませんので、高齢者本人はモチロン・・・ご家族も十分に気を付け、高齢者の不動産取引には必要な関与を怠らないようにしましょう。


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2018年09月18日

<人のいい高齢者から数千万円奪い取る証券会社と銀行…危険な金融商品を「情」で営業> ・・・「ダマされたらそこで試合終了」です。

<人のいい高齢者から数千万円奪い取る証券会社と銀行…危険な金融商品を「情」で営業>   Business Journal  2018.03.24 
 筆者がまだ高齢者の実態を把握していなかった頃、オレオレ詐欺やリフォーム詐欺などに高齢者が騙される事例を聞くにつけ、「高齢者って、お金をたくさん持っているんだなあ」と暢気に思っていたものだ。
 しかし、定年後20年も30年も生きるようになった昨今、長い老後を過ごすためにはそれなりの老後資金が必要であることが、老後が目前に迫ってきた筆者もさすがにわかってきた。
 そんな高齢者の不安につけ込むような投資の勧誘が世の中には溢れている。詐欺による被害は相変わらず多いが、それにとどまらず、まっとうな商品を装った詐欺まがいの金融商品もあり、さらには大手証券会社や銀行でさえも半ば騙すような営業をかけてくるというから、注意が必要だ。
・銀行も証券会社も、“人のいい老人”がターゲット
 拙著『ルポ 難民化する老人たち』(イースト新書)を読んだ知り合いのAさん(75)から、読後感想メールが届いた。大手証券会社さえ高齢者を食い物にする実態にわが身を重ね、「そうだったのか!」と、目からウロコが落ちる思いになったというのだ。
 Aさんの父が65歳で亡くなったとき、3人の子どもたちは母のために相続放棄をした。時はバブル期、母は都内にある38坪の自宅を売却して、1億5000万円の老後資金を得たという。その後、5000万円の老人ホームに入所して、88歳のときに亡くなった。葬儀が終わり、長男であるAさんが母の貯金通帳を見て、愕然とする。1億円くらいはあるはずだったのが、3000万円しか残っていなかったのだ。
「母が相続した財産を増やして子どもたちに遺したいと、準大手の証券会社B社と取引をしていたことは知っていましたが、それ以上のことにはタッチしていませんでした」
 B社が危険なデリバティブ商品を勧めて搾り取ったらしいということまではわかったが、シロウトには理解しにくい複雑な商品だったことや、本人がすでに亡くなっていることもあり、それ以上のことはわからず終いであきらめるしかなかったという。
 Aさんは21年間、PR会社を経営していた。クライアントの株を購入する際、母が取引をしていた縁でB社を利用していた。クライアントの株価が上がり利益を出していることや、母が亡くなり遺産が入ったことを把握していたのだろう。「いい話がありますよ」と、B社の営業マンがある銀行株を勧めてきて、Aさんはその銀行株を400万円で購入した。しかし、その後、銀行株は80万円に暴落。購入を勧めた営業マンはその後すぐに退職したらしく、下落の理由も知らされなかったという。
さらには、クライアントに勧められて1200万円で購入したゴルフ会員権はゴルフ場の倒産により紙切れと化し、大手通信メーカーに勤務する弟から勧められた同社株1600万円も暴落という不運も重なり、老後資金は5分の1までに目減りしてしまったそうだ。
「親子2代で、同じ証券会社に損をさせられるとは、よほど才覚がないんですね」と、Aさんは自嘲気味に語る。
「それ以来、投資活動は一切せず、残った資金と年金で慎ましく生活しています。消えてしまったお金が恨めしいですなあ」
・“お願いセールス”“土下座営業”
 2017年12月24日放映のNHK『クローズアップ現代+』では、低金利政策が銀行の収益を揺るがしているという現状にあって、若い銀行員が、上司から課せられるノルマに追いつめられるかたちで、顧客ニーズに合わない商品を売ってしまう実態を紹介していた。力を入れているのは、外貨建て生命保険など手数料が比較的高い商品だ。金融庁によると、地方銀行の17年3月期決算を分析したところ、過半数が本業で赤字に陥っているという。
 最近まで地方銀行で営業を担当していた20代の女性が内情を暴露する。多くの銀行員が行っていたのは、“お願いセールス”だったという。高齢者の自宅に何度も通いつめ、世間話などをして信頼を得た後に、上司から課せられる窮状を告白して、情に訴えて契約をしてもらうやり方だという。
「最終的にはお客さんが折れるみたいな感じで、お客さんのニーズではない、こっちの銀行都合でのお願いですよね。ノルマから逃げたいということしか考えなかったですね」
 お願いセールスの一環として、“土下座営業”もある。
 金融商品取引被害や投資取引被害などの問題に積極的に取り組んでいる、あおい法律事務所の荒井哲朗弁護士は、相談者にこう聞いたことがある。
「なぜ、こんな危険な商品を購入したんですか」
「だって、『お願いします、お願いします』と言って土下座するんですもの」
 特に高齢者は、大手銀行や証券会社といった社会的信用度の高いネームバリューに絶対的信頼を寄せる傾向にある。
「高齢者の場合には儲け話というよりも、『若い子が頻繁にやってきて、一生懸命に言うから』というのが大多数のケースです。親しくなったふりをして、という手口は昔からいくらでもあります」と、荒井弁護士は語る。
 取材をしてみると、金融商品取引の被害者は80代の高齢者が多いことに気づかされる。認知症を患っていない人でも、判断能力は低下する。さらには、ひとり暮らしで相談者がいないとか、情報が入ってこないための知識の欠如や、馴染みになった人と関係を絶ちたくないという弱みにつけこまれてしまうケースが多いようだ。
(文=林美保子/フリーライター)
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<メガバンクの投信、4割の客が損失 2割台の銀行も>  2018/9/4 朝日新聞デジタル
 3メガバンクで投資信託を買った個人客の4割が、今年3月末時点で損失を抱えていることがわかった。運用成績の透明化を求める金融庁の意向に沿って各行が開示した。開示の動きは証券業界でも出ており、今後、投信の販売会社を選ぶ参考になりそうだ。
 各行が、自行の窓口で投信を買い、今年3月末時点で保有している顧客の運用成績を開示した。運用損益がマイナスとなり損失を抱えたのは、三菱UFJ銀行では全体の42%、みずほ銀行では46%、三井住友銀行は「約4割」としている。
 3メガバンクの開示に先立って、金融庁が国内の大手と地方銀行計29行の3月末時点の運用成績を調べたところ、全体の46%の顧客が運用損失を抱えていた。メガバンクが今回開示した成績は平均並みといえるが、金融庁の調査では、運用損失を出した顧客の割合が2割台の銀行もあった。
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👀 結局のところ、判断力の衰えた高齢者が高額な金融商品取引を行ってその結果損失を抱えてしまっても、なかなかその被害を取り戻すことは難しいということです。
素人考えでは、理解力や判断力が衰えた老人のやったことなのですから、即刻取り消して、返金でもして貰えるのではないか・・・などと考えてしまいますが、実際はそうは問屋が卸しません。
金融商品取引法&金融商品販売法の「適合性の原則」の趣旨からも本来そうあるべきですが、実際の法の運用上は、なかなか金融取引が取消・無効ということになることは有りません。
認知症の高齢者ですら必ずしも認められるとは限りませんから、何をかいわんや〜
・「きっと理解して配慮してもらえる」
・「後で呆けた高齢者であることを言えば何とかなるのでは?」
〜等々といった希望的観測・淡い期待に基づいて行動することは止めましょう。
オレオレ詐欺も普通の会社や金融機関との取引も「ダマされたらそこで試合終了」位の認識が必要です。
 
高齢者の取引・契約について、ご家族でも〜
「ダマされてから損害賠償を考えれば・・・」
「消費者センターに話せば・・・」
「弁護士に・・・」
「証券・金融商品あっせん相談センターにで紛争処理・・・」
〜といった事後的対策に、大きな期待を抱く方が案外多いものです。
しかしながら、「事後的な対策で満足な解決を得られるたらラッキー」位の認識でいた方が間違いません。
対策は事前に!
「ダマされる前!!」に気が付くことこそ肝要です。


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2018年09月06日

高齢になって金融機関にダマされないコツ・・・退職金支給・年金の受給開始の時期に要注意!(そのA)

👀 金融機関に投資信託や仕組債などリスクの高い商品を、理解力や判断力が衰えた高齢者が販売されてしまうケースは、皆さんが想像する以上に多く、高齢者に起こる被害の中でも、最もありふれたものの一つといって良いでしょう。
高齢の親がリスクある金融商品を販売されたような場合、たとえ高齢者の家族が気付いたとしても・・・
金融機関も用意周到ですから、確認書や契約書などを、粛々と高齢者本人から取り付けているので、金融商品取引としては、形式的には問題が無く、解約や損失の回復などは出来ません。
前回に続き、金融機関が、高齢者にリスクある金融商品を売り付ける戦略の端緒を正しく知っておきましょう。
そして、今回は、高齢者になった時に、「金融機関にダマされないにはどうすれば良いのか!」具体的な方策もお届けいたします。

<金融機関が高齢者をダマす端緒は、「退職金受給時」、「年金受給開始時」にあり!>
 50歳代後半〜60歳代前半の年齢層に向けて、金融機関は〜
「退職後のライフプランセミナー」
「年金試算・・・」
「無料年金受給手続き」
「セカンドライフプランが・・・」
〜などと謳って、無料のセミナー・相談会などを頻繁に開催、勧誘します。
当然、その年代の方々も、関心事でもあり「無料だし!」ということで参加してみる方も多いようです。

 しかしながら、金融機関が本当に“ボランティア的奉仕の心”だけで、そのような“無料セミナー”などを開催するわけはなく・・・
最初のうちは“為になる情報”をふんだんに与えつつ、老後の“将来の不安”や“夢”を煽ります。
そして、打ち解けてきた頃合いをみて〜
「退職金の運用で夢を・・・」
「老後、年金だけでは・・・」
〜等々と具体的な勧誘へと向かいます。
最終的には、その金融機関で顧客が取引していなかった「投資信託などの運用商品(リスク商品)」の取引を始めさせることが狙いです。
無料でいろいろ教えてもらった「弱み」もあり、勧誘を受けるうちに、リスクある金融商品の取引を始めてしまう顧客も多いものです。
皆さんが、いついつまでもボケず、理解力や判断力が変わらないなら良いのですが・・・
残念ながら、それほど遠くない将来、ほとんどの人は理解力や判断力が衰えていきます。
ある意味、金融機関にとっては、そこからが「本当の稼ぎ時」とも言えます。
お金を持っている上に、理解力や判断力も衰え、御し易いお客さんです。
 最終的に70代・80代になり理解力や判断力が低下した高齢者が、金融機関の思うがままに「投信」や「仕組債」などのリスクある金融商品を売り付けられてしまうといった被害の端緒をたどって行くと・・・
退職時や年金受給時あたりにリスクある金融商品の取引口座を開設してしまったことにあることが多いのです。

<ボケてから金融機関にダマされない為に@
・・・金融機関などが開催する「無料」セミナー・相談会などには行かないこと!>

 高齢になって理解力や判断力が衰えてから、金融機関にダマされないためには、ある程度長期的な心構えが必要です。
まず、退職金受給や年金受給・セカンドライフなどについて行われる無料セミナー・相談会などには参加しないこと!
余程、意志強固で勧誘を断る自信が有ればよいですが・・・そのような催しに参加すると → 主催金融機関の見込客リストに加えられ → その後、営業・勧誘の対象になります。
そのような無料セミナーは、有難がっていく程の内容は有りません。
ネットの無かった昔ならまだしも、現在では、その程度の情報は、検索すれば十分得られる程度のものです。
そもそも自分でそのような情報を集められないような人が海千山千の金融機関に飛び込むこと自体「カモネギ」そのもの金融機関の思う壺です。

<ボケてから金融機関にダマされない為にA・・・金融商品取引はネット専業金融業者で!>
 金融ビックバン以降、日本の金融は規制緩和が進み、様々な金融商品を安いコストで享受できるようになりました。
特に、ネット専業の金融機関(銀行・証券・保険)は、店舗や営業をほとんど持たないことにより、手数料・信託報酬といったコストを、通常の金融機関に比べて大幅に低減しています。
コストを考えると、従来型の金融機関で取引するメリットはありません。
 そして、ネット専業の金融機関で取引するメリットは、「コストの安さ」だけではないのです。
ネット専業の金融機関で取引した方が「将来、高齢になり理解力や判断力が落ちた際に、金融機関にダマされるリスクが大きく下がる」のです。
普通の金融機関では、(人件費の高い・・・)営業マンや窓口レディー達が、親切めかして(実際は自分のノルマ達成の為に・・・)理解力や判断力が落ちた老人にでも、あれやこれやと勧誘し、リスクある金融商品を売り付けます。
ネット専業の金融業者では、そのような心配は有りません。(営業マンなどがやってきませんから!)
また、理解力や判断力が落ちてくると高齢者は、PCの操作やパスワード管理などもできなくなってくるので・・・自然と「ネット取引」が億劫になり、取引することが無くなっていきます。
そのような点でもネット専業の金融機関で取引することは、結果的に、あなたが高齢になって、理解力や判断力が衰えてから金融機関にダマされることを防げるのです!
それに引きかえ、既存型の対面型の金融機関で取引していると、高齢の既存顧客の理解力や判断力が相当に落ちてきてもお構いなし・・・
認知症の診断が下り、家族が苦情を申し立てたり、法定後見制度の適用でもしない限り、リスクある金融商品を勧誘し売り付けてきます。
こんなことにならない様に、高齢者こそ、ネット専業の金融機関で取引をすべきです。
そして、ネット専業の金融機関では、金融取引が出来ない程に理解力や判断力が衰えたときは、金融商品取引から引退することを自覚し、ご家族とも約束しておきましょう!

<追記>
 厳しいようですが、いまどきネットも使いこなせないようでは、リスクある金融商品の取引はおススメできません。
やめておいた方が良いでしょう。
ネット専業よりコストが掛るという理由のみでなく、ネットが出来ないような“情報収集力”では、既存の「対面営業型の金融機関」と取引することなど、自らダマされに行くようなものです。
たとえ既存の対面営業型の金融機関と取引するとしても、営業マン・窓口レディに奨められた金融商品について“ネットで調べる”位の事は出来なければいけません。
多少損しても話し相手が欲しいとか、支店で“特別な優遇”を受けられるほどの「大金持ちの方」なら止めませんが・・・

👀 残念ながら、理解力判断力の落ちた高齢者に、このような営業が繰り広げられているのが、日本の既存型の金融機関の現状です。
ネット専業なら少なくともこの種の被害は避けられます。
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<みずほ証券に賠償命令 東京地裁、認知症女性に金融商品 >    日本経済新聞  2016/6/17
 認知症の女性(85)が複雑な金融商品を購入させられたとして、みずほ証券などに約4300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(青木晋裁判長)は17日、不適切な勧誘だったことを認め、みずほ証券に約3千万円の賠償を命じた。
 判決は「女性が購入した金融商品はリスクが大きく仕組みが難解であり、相当程度の投資判断の能力が要求されるものだった」と指摘。女性が認知症の診断を受けており、投資の経験が浅いことなどから「不適切な勧誘で、違法な取引にあたる」と判断した。
 みずほ証券側は、販売当時は女性が認知症との認識はなく、「商品を理解する能力があり、担当者は基本的な仕組みやリスクを説明していた」と主張していた。
 判決によると、女性は2008年、みずほ証券の担当者の勧誘で、金融派生商品を組み合わせた「仕組み債」を計約7100万円購入。リーマン・ショックによって約4千万円の損害が生じた。
 女性は、みずほ証券の担当者を紹介したみずほ銀行にも賠償を求めたが、判決は「銀行が勧誘したとは認められない」として請求を退けた。
 みずほ証券は「主張が認められず残念。今後の対応については判決を詳細に検討したうえで決定する」とコメントした。
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<認知症高齢男性に投信販売で和解 大和証券600万円支払い>    2012.3.29 MSN産経ニュース
 認知症の男性(89)に投資信託などを販売して損害を与えたとして、男性側が大和証券に約820万円の損害賠償を求めた訴訟があり、東京地裁(村上正敏裁判長)で和解が成立していたことが28日、分かった。和解は21日付で大和側が600万円を支払う。男性は中央三井信託銀行にも約1030万円を求めているが、和解は大和分のみ。
 訴状によると、男性は平成20年に老人性認知症と診断され、21年に成年後見開始決定を受けた。金融商品の購入金額は15年まで年間240万円程度だったが、18年は2社で約5530万円に上った。原告側は「判断力の低下に乗じて、外務員らが違法な勧誘を行っていた」と主張、売却価格との差額などを求めていた。
 男性側代理人は「同様の例はあるはずで、社会に警鐘を鳴らす事案になれば」としている。大和証券は「事案の内容を十分精査した上で、適切に対応した」とコメントしている。
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👀 2014/3/16からようやく以下のようなルールを始めたらしい・・・大して変わったとも思えませんが!
そもそもそのルールですら本当に“最低限”に過ぎないものです!
 逆に言えば、以下のルールに当てはまらない高齢者には「躊躇なく“高リスク金融商品”を売りつける」ということでもあります・・・
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<強化された高齢者向け投資勧誘ルール>     日経マネー 2014年2月12日 
 日本で金融資産を豊富に保有しているのは高齢者で、金融機関の主要な顧客層となっています。一方で、リスク商品に関する高齢者本人や家族からの苦情や斡旋、訴訟提起は増加傾向にあります。
 これまでも証券会社や銀行等では、高齢者にリスク商品を販売する際の社内規定を設けてきていましたが、各社ごとに内容にバラツキがあり、高齢者対応に焦点を絞った業界の自主規制ルールや金融庁の監督指針は設けられてこなかったのが実情です。
 そうした中、2013年12月16日に日本証券業協会が、高齢者にリスク商品を勧誘によって販売する際の自主規制規則およびガイドライン(業界統一の販売・勧誘ルール)を施行。合わせて金融庁の金融機関向け監督指針も改正されました。2014年3月15日までは、金融機関が態勢整備を行う猶予期間となっていますが、3月16日から完全施行されます。
新たな販売・勧誘ルール
 日本証券業協会の自主規制規則では、協会員(証券会社や銀行等)に対し、高齢顧客に有価証券等の勧誘による販売を行う場合には、高齢顧客の定義、販売対象となる有価証券等、説明方法、受注方法等に関する「社内規則」の策定を義務付けています。
社内規則に関するガイドラインのポイントは次の通りです。
1. 年齢を基準として高齢顧客を定義すること。目安としては「75歳以上」を対象とする。さらに、その中でもより慎重な勧誘・販売を行う必要がある顧客は「80歳以上」を目安とする(この項目に限らず、各社でより厳しい基準を定めることを妨げない)。
2. 高齢顧客に勧誘しても問題がないと考えられる商品の範囲をなるべく具体的に定めること。これら以外の商品を「勧誘留意商品」とし、勧誘留意商品を勧誘する場合は、勧誘のつど、役席者の事前承認を得ること。
3. 役席者の事前承認がなくても高齢顧客に勧誘可能な商品としては、(1)国債、地方債、政府保証債等(2)普通社債(3)公社債を中心に運用し、比較的安定的な運用を指向する投資信託(4)知名度や流動性が高い通貨建て(現時点で米ドル、ユーロ、豪ドルが該当)の(1)(2)(3)に相当する債券および投資信託(5)上場株式、ETF・ETN、REIT等(6)値動きが日経平均株価や東証株価指数の変動率に一致するように設計された投資信託、などが挙げられている。なお、これらの商品についても、社内規則によって規制の対象とすることを妨げない。
4. 役席者の事前承認は、役席者が自ら高齢顧客との面談や電話での会話により、顧客の健康状態や理解力等を確認し、勧誘の適正性を判断したうえ上で行うこと。面談等の内容は録音や書面によって記録・保存すること。
5. 80歳以上を目安とする高齢顧客については、原則として当日の受注を行わず、翌日以降に受注すること。
6. 80歳以上を目安とする高齢顧客からの受注については、担当営業員ではなく役席者が行うこと(説明内容を十分に理解したうえでの買付であることの確認が必要であるため)。約定結果の連絡も担当営業員以外の者が行うこと。受注時と約定連絡の会話内容も録音・記録・保存すること。
7. 会社経営者、役員等である高齢顧客について、役席者が頻繁に接し、顧客属性や投資意向を十分に把握している場合は、担当役員等の承認を得て、本ガイドラインの対象外とすることも可能。
8. 社内規則が適切に運用されているかについてモニタリングを実行すること。
ネット取引等は対象外
 主要通貨建ての債券や公社債投資信託、上場株式等は以上の規制の対象外とすることが可能ですが、新興国通貨建ての債券や仕組み債、株式を組み入れて積極的に値上がり益を目指す株式投資信託などは規制対象となります。
 別の観点から見ると、規制の対象外とすることができる商品は金融機関に入る手数料が安く、規制対象となる勧誘留意商品は手数料が高くなります。このため、勧誘留意商品ほど金融機関が積極的に販売したくなるわけで、クレームの対象となる勧誘が起きがちな商品だともいえます。
 ただし、高齢顧客が勧誘留意商品を自ら選択し、銘柄および数量を指定して購入を希望する場合、またインターネット取引において自ら取引をする場合は、今回の自主規制の対象外とすることができます。

 つまり、自らの意思で投資を行う場合には特に規制をかけなくてよいが、金融機関からの勧誘によって投資を行う場合には規制を強化するということになるわけです。
 高齢者に限らず、日本人の多くは、金融機関からの勧誘によって投資を行う傾向が強いですが、そもそも投資は自己責任で行うものです。金融機関からのアドバイスや説明にも意味はありますが、金融機関から勧誘されなければ投資しない、あるいは投資できない人に、そもそも勧誘していいのかという問題も考える必要があります。
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posted by 隊長 at 11:02| Comment(0) | 金融機関ダマしの構図 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする