<認知症の症状、車の鍵も取り上げたのに… 免許返納を拒んだ90歳父が交通事故も「俺は悪くない」そして要介護に 家族の苦悩> 2024/5/22 まいどなニュース
75歳以上の高齢者運転による死亡事故は、内閣府のデータによると、ハンドルやブレーキなどの操作ミスが28%と高い割合を占めます。そのため日本では、報道などでも特集されることが多い高齢ドライバーの事故予防として、運転に不安を感じる人が自主的に運転免許証を返納する「自主返納」の制度を呼びかけています。しかし免許返納をすることなく車を運転し続け、悲しい事故を起こしてしまうことも少なくありません。
そんな悲しい事故のひとつとして、免許返納を家族から促されつつも、かたくなに返納を拒否した結果、交通事故を起こしてしまった90歳男性について、その家族から話を伺いました。 彼の家族構成は、65歳の息子とその妻(63歳)の3人暮らしで、彼は認知症の症状が出始めていたことから、息子夫婦から何度も免許を返納するよう促されていました。しかし彼は昔ながらの頑固な性格から首を縦に振らず、息子夫婦は困り果てていたそうです。その後、彼が交通事故を起こしてしまうまでの詳しい状況を息子さんに教えていただきました。 ――お父様はどれくらい運転が危ない状態だったのでしょうか。 90代の父親は昔ながらの強気な性格の人で、「俺は大丈夫」と言ってかたくなに免許返納を拒んでいました。けれど実際は物覚えが悪くなり足腰も弱くなっていて、運転している様子はとても見ていられないくらい危なっかしい様子だったのです。あまりにも危険だったので私が車の鍵を預かって運転させないようにしていました。 ――普段は運転させないようにしていたのに、なぜ交通事故は起きてしまったのですか。 ある日、私が外出中に車を運転したことが原因です。車の鍵は私と妻の寝室の貴重品入れに隠していたのですが、探し出されてしまいました。今となって思うのは、外出時でも車の鍵を持ち歩くべきでした…。 ――事故の事実を知ったのはいつでしたか? 警察からの電話で知りました。「人をひいたので来てほしい。酒を飲んでいるようだ」と言われました。慌てて現場に行くと、へらへらと笑いながら警察官と話す父の姿と、ミラーが無くなった車がありました。 ――本人はご無事だったのですね。どのような事故だったのでしょうか? 歩道のない道路で、歩行者が歩く部分を走行してしまい、対向して歩いてくる歩行者の身体にぶつかってしまったようです。酒気も帯びていましたが父は「俺はスピードを出していない。向こうが寄ってきた。酒は少し飲んだだけ」と言い訳ばかりで悪びれない様子に、心底腹がたって怒鳴ってしまいました。 ドライブレコーダーを見ると、明らかに父が歩行者寄りで走っていて、スピードは60キロくらい出ているようでした。ドライブレコーダーを見ても父は「俺は悪くない」と認めません。そのため認知症を疑われましたが、数値としては悪くなく、結果として相手方は左腕骨折で長期入院、父は100万円の罰金を命じられました。 ――鍵の管理など対策をしていても、人身事故の発生を避けられなかったのですね。 相手方が私の息子の所属する野球チームの関係者だと判明し、謝罪に伺った際にはひどく叱られました。また、息子もチームに居づらくなり移籍することになり、免許を返納しなかったために、息子にも迷惑がかかってしまいました。 ――最終的には、どのような解決となりましたか? この事故を機に免許を返納させ、車を売って罰金を支払わせました。私は何度も警察署や検察庁、相手方のお見舞いなどに行き会社を休んだため、みなの知るところになり、社内でも居心地が悪くなりました。この事故をきっかけに父は弱り、急に年老いて完全に歩けなくなりました。正直なところ、迷惑をかけておいて急に介護が必要となっても、私も妻も看る気になれないのが本音です。 ――免許返納の話し合いは、何歳ごろから何回程度されましたか? 父が65歳になったころから私が父の代わりに運転するようにしていました。しかし父が70歳のころに母が他界し、寂しくなったのか再び車で出かけるようになったのです。 80歳を超えたころから認知症が出はじめ、それをきっかけに返納について何度も話すようになりましたが、その話をすると怒り出すので話し合いにもなりませんでした。何度も話したので回数はわからないほどです。 ――事故後の免許返納について、本人は納得されましたか? 最後まで納得していませんでした。車を売りましたので、乗り物がなければ持っていても仕方ないと観念しただけでした。 免許返納は本人が納得しない場合、解決が困難な問題です。また、免許返納の落胆による認知症や、うつ病の対策にも配慮する必要があります。しかし人身事故に発展する可能性もあるため、車の売却など強制的に運転できない状況を作る事も選択肢になるといえるでしょう。 (まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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👀 高齢認知症ドライバーに関する現実を伝えてくれる稀な記事ですので、理解力・判断力の衰えた高齢な親を持つご家族はよく読んでおいた方が良いですね!
日頃高齢ドライバーについて、テレビやネットのニュースなどでは〜
「免許返納が増加・・・」
「高齢者の免許の更新時に認知症の検査が導入・・・」
〜といった話題が大きく取り上げられ、それだけ聞いていると〜
「高齢者の運転問題もドンドン対策が進んでいるね・・・」
「うちの親も理解力・判断力が落ちたら免許は更新されないだろう・・・」
〜などと思ってしまいがちです。
しかしながら、大きく取り上げられる「免許返納」も「免許更新時の認知力の検査」も高齢者の免許保有者(ドライバー)全体から見れば、
その対象となるのは、重症な認知症者であり、ごく僅かです。
👀 「これが現実」
↓
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<「認知症のおそれがある」判定の高齢者、65%免許返上> 朝日新聞DIJITAL 2019年5月22日
認知機能検査で「認知症のおそれがある」と判定された75歳以上のドライバーのうち、最終的に医師に認知症と診断され運転免許証が取り消し・停止になったのは昨年、5・0%にあたる1932人だった。ほかに、判定後に自主返納したり更新せず失効させたりした人を含めると、65・1%が免許の継続を断念していた。警察庁が21日、状況をまとめた。
認知機能検査では、「認知症のおそれがある」第1分類、「認知機能低下のおそれがある」第2分類、「低下のおそれがない」第3分類のどれかに判定される。高齢ドライバーによる交通事故の対策として、認知機能検査を強化する改正道路交通法が2017年3月に施行した。従来、75歳以上の人は免許更新時に検査を受けていたが、一時不停止や信号無視、逆走など一定の違反をした人にも臨時の検査が義務づけられた。
18年は約216万5千人が検査を受け、2・5%の約5万4千人が第1分類と判定されている。
警察庁は、第1分類と判定された人(17〜18年)で18年1年間に免許の扱いが決まった3万9025人の処分結果をまとめた。それによると、1932人が取り消し・停止となったほか、45・5%の1万7775人が自主返納、14・6%の5706人が失効させた。
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👀 2017年3月から道交法が改正され、従前より免許更新時の高齢者認知機能チェックが厳しくなりました。
上記の記事では法改正後、2年での変化を取り上げています。
私も自分の親の高齢運転問題に直面する前であれば、このようなニュースを聞いたら〜
「お上もいろいろ考えて手を打っているいるね・・・」
「これで親が高齢になっても運転免許に関しては、問題ないね・・・」
〜などと、気楽に考えていたことでしょう。
しかしながら、実際に高齢の親の運転(免許)のことで現実的な不安を抱えているご家族は、今回の道交法改正での結果を妄信せず、自分の親の高齢運転問題への対処について十分留意しておくことが肝要です。
もう少し具体的に、分かり易く言うと〜
「ウチの親も認知症という診断も出たし、次の免許更新時の高齢者認知機能チェックではキット免許取消になるわね・・・」
〜と思い込まないことです。
期待通りになるかもしれませんが、ならない可能性が圧倒的に高いですから!
まず第一に、上記の記事にもあるように〜
「 18年は約216万5千人が検査を受け、2・5%の約5万4千人が第1分類と判定されている。
警察庁は、第1分類と判定された人(17〜18年)で18年1年間に免許の扱いが決まった3万9025人の処分結果をまとめた。それによると、1932人が取り消し・停止となったほか、45・5%の1万7775人が自主返納、14・6%の5706人が失効させた。」
〜つまり、5万4千人/216万5千人 ≒ 2.5% 75歳以上の免許更新者と考えると・・・そもそも「2.5%」しか第1分類になりません。実際、更新できない人はごく僅かです。
(巷間では、65歳以上でも「7人に1人は認知症(約14%)」と言われているのに・・・)
あなたの親御さんが”認知症”と診断が出ていても、よほど認知症が悪化していない限り「第一分類」にならないと思っておいた方が良いと思います。
認知機能チェックが厳しくなったとはいえ・・・75歳以上の免許更新者の「97.5%」(100-2.5%)は、問題なく免許更新できるということは覚えておきましょう!
もし、親御さんが認知症の診断を受けていて、免許更新を運転をやめさせるキッカケにしたいなら、75歳以上の免許更新時認知機能チェックに過剰な期待をしてはいけません。
警察や免許試験場と相談をして確実に更新できない対策をとることをお勧めします。
そうでないと「認知症だから年許更新は出来ないだろう」と希望的観測で考えているとかなりの確率で「更新」出来てしまいます。
更新できてしまうと・・・高齢の親にとっては「まだ、お上も運転して良い!と言ってくれとる!!」とお墨付きをもらって、意気軒高になってしまいます。
そして第二として、上記の記事にもあるように〜
判定後、医師の診断前に免許を自主返納した人は1万6115人、更新せずに免許が失効した人は5706人に過ぎません。
また、医師の診断を受けて、認知症と診断された1932人が免許取り消し・免許停止となりました。
<まとめ>
※75歳以上のドライバーが免許更新に行く(216万5千人)
↓
97.5%(ほとんどの人は更新)
↓
0.09%=1932人が「取り消し・停止」 ・・・ほとんど宝くじですね!
医師の診断前に免許を自主返納した人は1万6115人(0.74%)。
更新せずに免許が失効した人は5706人(0.26%)。 ・・・家族が老人を必死に説得する姿が目に浮かびます!
2024年05月24日
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