2022年03月08日

金融機関にこうしてだまされる(父のケースC)・・・金融ADRは「ボケ老人を救わない」の巻

👀 N証券M支店にだまされ、証券・金融商品あっせん相談センターに相談し、期待しつつ、再度N証券との話し合いを持ったものの、話し合いは平行線のまま・・・
さあ騙され親子はどうなるか?

<証券・金融商品あっせん相談センターのHPにある理想的解決の図>
 証券・金融商品あっせん相談センターのHPにある下図のように、当事者間の話し合いで“解決!”となればいいのですが・・・
判断力が衰えた高齢者の取引の場合、金融機関は契約書や確認書を基に「正当な取引!!」と突っぱねてくる場合がほとんどなので、そうは問屋が卸しません。
      ↓
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<「あっせん」で、金融機関に騙されたボケ老人は救われるのか?>
 証券・金融商品あっせん相談センターに相談し、再度N証券と当事者間の話し合いをしたものの、話し合いは平行線に終わりました。
このような場合、解決への次の段階として、「あっせん」へ進むしかないのですが・・・
理解力・判断力が衰えた高齢者が金融機関に騙された場合、実際には「あっせん」で救われることは、なかなか難しい現実を知ることになります。
今回の場合、そもそも理解力や判断力が衰えた父に代わり私(子)が証券・金融商品あっせん相談センターに相談したのですが・・・
証券・金融商品あっせん相談センターの言うには、「あっせん」に関しては、原則として本人(ボケ老人)が行ってもらいますとのこと。
親族は代理人にはなれないそうで(原則)・・・父のように本人が認知症のような場合には、子が補佐人のような立場で、発言は出来ませんが、「あっせん」の場に立ち会うことは出来ますとのことでした。
しかし現実には、これでは高齢で理解力の衰えた高齢者が金融機関に騙された場合、なかなか救われることはないでしょう。
そもそも、高齢で理解力が衰えて金融機関に騙された高齢者は、証券・金融商品あっせん相談センターに相談することもできないのが普通です。
だから子が相談に来ているわけですから・・・
逆に言えば、自分が騙されたことを認識し、証券・金融商品あっせん相談センターに相談し、自分でテキパキと「あっせん」を申し立て、進めることが出来るような老人なら・・・金融機関に騙されないのではないかと思います。
あえて無理を押して、ボケた老人である本人に、「あっせん」を申し立てさせたとしても・・・
記憶も判断力も乏しいボケた老人が、キチンとした答弁・抗弁を出来るとも思えませんし、そもそも申立書を書くことすらママならないでしょう。
親族としても、あっせんの場で父が相手の証券会社やあっせん委員にいろいろ尋ねられ、シドロモドロになるのをただ何も言えず見ているだけなど、想像するだけで、なんとも哀れで耐えられません。

 また、本人が無理であれば、子は代理人になれない(原則)ということでは、弁護士を代理人に立てざるを得ません。
しかし、それではそもそも「あっせん」本来の低廉で簡易・迅速な解決・・・は図れないことになります。
このような運用が、「あっせん」という法的な制度としての整合性の為に必要であることは、理解は出来るものの・・・
現状の「あっせん」では、高齢で理解力の衰えて金融機関に騙された高齢者は、なかなか救われないことは否めない事実でしょう。
現状の「あっせん」は、まったく正常で判断力・理解力が十分ある者が、たまたま金融機関の不法な勧誘や不実の告知などにより騙されたような場合を救済することを想定して出来た金融被害救済策なのでしょう。
加齢で理解力や判断力が衰えた高齢者が金融機関にそそのかされたような場合は、そもそも想定外と言わざるを得ないでしょう。
「あっせん」を自分でキチンと申し立てられないような被害者(ボケた老人)などは救済されにくいことを重々認識して、ダマされないようにすることが肝要です!
くれぐれも〜
「高齢の親が騙されても金融ADRが有るから救われる!」
「騙されてから行けば何とかなるでしょ・・・!」
〜なんて夢にも思わないように!!

<今回の結論:ボケた老人は金融機関に騙されても、なかなか救われない。>
今回あらためて認識させられたのは、完全に事理弁識に問題があり後見人制度のお世話になるほどではないが、加齢や認知症により理解力・判断力が落ちた老人を効果的に救う手段が、ほとんどないという現実です。
本来は、「金融商品取引法&金融商品販売法」の制定によって、「適合性の原則」・「説明義務」といった消費者保護の規定で救われるはずなのですが・・・
現実の法の運用は、今まで述べてきたとおりの実態です。
金融機関が必要な契約書や確認書を用意し、ボケた高齢者が署名押印してしまうと、それを正当な取引の証拠とされ、歯牙にも掛けられません。
(契約以前の日付で「認知症の医師の診断書」が有ったり、それを金融機関に通知していたりといった事実でもあれば、別なのかもしれませんが・・・)
少なくとも今回の父のケースでは、被害を認識した後に医師の診断を受け「アルツハイマー型認知症」との診断が出ても、あくまで契約後なので、金融機関としては「正当な取引」との見解を一切譲りませんでした。
ADR機関もそれでもあくまで「中立」、「(認知症の)本人があっせんを申し立てるのが原則」との立場は変わりません。

<「あっせん」の代理人に弁護士頼む位なら・・・>
 ADRによる「あっせん」による被害の救済は、事実上100%勝っても、被害(損失)額が取り戻せるだけです。
分かりやすく言えば、交通事故の場合のように、損害額のうち事故の過失分は相殺されて保険が支払われるようなもので・・・
金融機関にダマくらかされて、投信を買わされた挙句、元本を1000万毀損したような場合。
「あっせん」では、完全に勝利しても1000万戻ってくるだけです。
しかし、それは「完全な勝利」は、ごくレアなケースであり、大半の場合は購入者の過失(自己責任)が勘案され〜
「損失額の70%だけ支払われる」
「損失額の半分だけ支払われる」
〜といったように過失分が相殺されてしまうのが、普通です。
 結局「あっせん」では、損失額が全部取り戻せないだけでなく、代理人に弁護士を雇ったらその弁護士費用まで支払うことになりますから、事実上あまりメリットがありません。
いっそのこと、費用を掛けて弁護士を雇うのであれば、「あっせん」ではなく、金融商品取引法&金融商品販売法 の違反を含めた、不法行為による損害賠償請求訴訟をした方が良いのではないかと思います。


(つづく)


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