2018年02月27日

<高齢ドライバー 4.7万人が認知症のおそれ 検査強化で> → 実際に「免許取消」は、1351人(現状)・・・

<高齢ドライバー>4.7万人が認知症のおそれ 検査強化で>  毎日新聞社 2018年2月26日
 警察庁は26日、75歳以上のドライバーの認知機能検査を強化した改正道路交通法が施行された2017年3月から同年末までに、172万5292人が検査を受け、4万6911人が認知症のおそれがある第1分類と判定されたと発表した。
 75歳以上のドライバーは3年に1度の免許更新時などに認知機能検査を受ける必要があり、第1分類のほか第2分類(認知機能低下のおそれ)、第3分類(認知機能低下のおそれなし)に判定される。従来は第1分類のうち一定の交通違反をした人だけ医師の診断を受ける義務があったが、改正後は第1分類となったドライバー全てが受診対象となった。
 警察庁によると、第1分類と判定された人のうち、診断待ちなどを除く2万4816人の状況をみると、医師の診断で免許継続が認められたのは9841人(39.6%)。一方、免許の取り消しなどは1351人(5.4%)、免許を更新しなかったのは2571人(10.4%)だった。自主返納も1万1053人(44.5%)で、運転を断念したのは6割を超えた。
 警察庁によると、17年末の75歳以上の運転免許保有者は約540万人に達する。【川上晃弘】
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👀 逆走や事故といった高齢者の運転が社会問題となり、昨年鳴り物入りで改正された道路交通法ですが。
上記の記事による、改正から2017年末までの結果をみると今回の道交法改正の実際の運用状況が大体見えてきました。
皆様は、上記の記事で道交法の改正結果を、どうご覧になったでしょうか?
私も父親の運転問題に直面する前であれば、上記のような記事を見て〜
「お上も高齢者の運転問題に適切な対応をしているようだ・・・」
「うちの親もこの対策で何とかなるのだろう・・・」
「これで高齢者の危うい運転も解消だな・・・」
〜等と深く読み込みもせずに考えていたことでしょう。
 
 しかしながら、高齢の親の運転問題に直面し、運転を辞めさせるまでに苦労した経験を持った経験者として、上記の記事を読む限り・・・
改正前よりは、良くなりましたが、まだまだ適用されるのは、ごく僅か。
現実に高齢の親の運転問題に直面している方が、安心していて良いレベルでは全くありませんので正しく認識しておきましょう。
それでは、なぜそう言えるか説明していきましょう。
・「〜改正道路交通法が施行された2017年3月から同年末までに、172万5292人が検査を受け、4万6911人が認知症のおそれがある第1分類と判定されたと発表した。」
       
そもそも何らかの処分の可能性がある「認知症のおそれがある第1分類」と判定される率 = 2.7% に過ぎません。
一般に「65歳以上の7人に1人(≒15%)は認知症」と言われているのに比べても、著しく低い。
認知症にも症状の軽重は当然ありますし・・・
多少能力に問題は有っても国が強制的に免許を停止・取消することは避けたいという思いや配慮・・・
〜といった事が総合的に勘案されて、現状では、対象者の3%程度が第1分類に区分されるのが限界なのでしょう。
そして、第1分類と判定されたとしても!
「〜第1分類と判定された人のうち、診断待ちなどを除く2万4816人の状況をみると、医師の診断で免許継続が認められたのは9841人(39.6%)。一方、免許の取り消しなどは1351人(5.4%)、免許を更新しなかったのは2571人(10.4%)だった。自主返納も1万1053人(44.5%)〜」
       ↓
 お医者さんもいざ自分の診断書で「免許取消」にして恨まれたくないのでしょうね、免許継続が認められてしまう人が約40%ですから・・・
有無を言わさず「免許取消」になるのは、1351人という少なさで、宝くじに当たるくらいの確立です。
後は、何とか本人を説得して免許更新を諦めさせたり、更新した免許を「自主返納」させているのが運用の実態で、家族や警察、医師が認知症高齢者を「なだめたり」「すかしたり」している姿が目に浮かびます。

< 結 論 >
 説明してきたように、昨年の道交法改正で取り入れられた「75歳以上のドライバーの認知機能検査」でも改正前よりは対策は進展しましたが、実際の運用で「免許取消」になる確率は極めて低いのです。
また、恐ろしいのは、第1分類と判定された高齢者の約40%は(せっかく認知症で第一分類と分かったのにもかかわらず)免許継続が認められてしまう事です。
高齢者のご家族で現実に高齢者の運転問題に直面している場合、くれぐれも〜
「免許更新時の検査で引っ掛かって取消になる筈・・・」
「うちのおじいさんは、認知症だし、75歳以上は免許の更新は出来ないだろう・・・」
〜等と決して素人判断しはいけません!宝くじに当たるぐらい「免許取消」になるのは難しいです。
何の対策もなしでは、「お上のお許し」を頂いてしまう可能性の方が圧倒的に高く、逆効果になります。
免許更新時は、認知症の親の運転問題を解決する好機。
認知症により免許更新できない様に警察・免許試験場・医師と事前に連絡し連携して対応することを心がけましょう。


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👀 実際に死亡事故を起こすと・・・
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<死亡事故起こした75歳以上、半数が認知機能低下の恐れ>    2018/2/15 朝日新聞デジタル
 昨年1年間に交通死亡事故を起こした75歳以上のドライバーの2人に1人が、認知症や認知機能低下の恐れがあると判定されていたことが警察庁のまとめでわかった。警察庁は、運転免許証の自主返納を促すなどの対策を進める。75歳以上のドライバーによる死亡事故は昨年、418件(前年比41件減)で、過去10年で2番目に少なかった。
 75歳以上のドライバーについては、免許更新時や逆走など一定の違反をした時に、認知機能検査が義務づけられている。「認知症の恐れがある」(第1分類)、「認知機能低下の恐れがある」(第2分類)、「低下の恐れがない」(第3分類)のいずれかに判定され、第1分類は医師の診断を受けなければならない。
 警察庁によると、昨年に死亡事故を起こした75歳以上418人のうち、免許更新前だった33人をのぞく385人の検査結果は、第1・第2分類の判定が189人(49%)だった。昨年までの3年間に検査を受けた約525万5千人で、第1・第2分類とされた人は32%だった。警察庁は、認知機能の低下が事故の発生に影響している可能性があるとみている。
 75歳以上のドライバーが昨年1年間に起こした交通死亡事故は418件。死亡事故全体に占める割合は12・9%で前年より0・6ポイント減少した。高齢運転者の認知症対策を強化した改正道路交通法が昨年3月に施行されたことの影響について、警察庁の担当者は「全体に占める割合の減少はわずかで、影響の有無はまだ判断できない」としている。
 警察庁によると、75歳以上のドライバーによる死亡事故は2008年410件で、14年は471件に上った。死亡事故全体に占める割合も増加傾向で、16年は13・5%に達していた。(浦野直樹)
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posted by 隊長 at 18:04| Comment(0) | 高齢者の運転・免許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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