銀行窓口で販売する保険商品をめぐって、トラブルが絶えない。特に、投資性の高い一時払い保険「外貨建て保険」に対し、高齢者を中心に「元本保証だと思っていたのに損失が生じた」といった相談が寄せられているという。相談件数も多く、国民生活センターが注意を呼びかけている。(飯田耕司)
銀行窓口で保険商品の販売が全面解禁されてから、昨年12月で10年。一時払いの外貨建て保険のトラブルが目立ち始めた。
外貨建て保険は、年金や終身があり、顧客から預かった資金を利回りの高い米国債や豪州債などで運用する。保険金や年金、解約返戻金などは外貨で受け取る。ただ、為替相場が円安になれば受け取る資産がかさ上げされる半面、円高ドル安になれば目減りすることになる。このため、投資型商品としての側面が強い。
この外貨建て保険をめぐって、国民生活センターには相談が相次いでいる。
「相続税対策として勧められた。元本保証と思っていたら、変額終身保険で、300万円ほど元本が減った」(80代女性)
「解約しようとしたら、40万円ほど損をするといわれた」(70代女性)
「払い込みの金額にプラスした金額を受け取れると思っていたが9割しか受け取れなかった。苦情を伝えたら『当時の職員は退職した。損失補償はできない』といわれた」(50代男性)
といった内容で、平成29年4〜11月は前年同月比3割減となったものの、229件と高水準に変わりはないという。相談の多くが高齢者で、全体の8割近くに上っている。
また、高齢者の親族からの相談も多く、「株取引もしたことがないのに外貨建て保険を勧められた」「銀行は為替リスクがあることを説明したというが、本人が理解しているとは思えないまま契約させた」といった苦情もきているという。
国民生活センターは、保険契約していること自体に消費者の理解が得られていない▽消費者の希望に合っていない保険の勧誘や契約が行われている▽中途解約時や満期時もトラブルになりやすい▽外貨建て保険は、クーリング・オフしても損失が生じる可能性がある−ことが問題点だと指摘。消費者に対し、「内容が分からなければ契約はしないことや、リスクや契約期間の確認をすべきだ」と注意を呼びかけている。
背景には、日銀のマイナス金利政策の影響で、利ざやが確保できないかわりに、保険商品を保険会社の代わりに「代理販売」することで、販売手数料を稼ぎたいという銀行側の思惑も透けてみえる。金融庁は、銀行が生命保険会社から受け取る手数料が高い保険を優先して販売している可能性もあるとして、販売手数料を商品別に開示するなどの対策を打ち出しているが、「投資性商品と説明して販売していないならば問題」として動向を注視していく方針だ。
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👀 今回は、銀行窓口販売の「外貨建て保険」について取り上げられておりますが、この記事から学ばなくてはいけないのは・・・「外貨建て保険」の投資リスクといったことではありません。
「外貨建て保険」は今回目立って取り上げられているだけで・・・この記事から学ぶべきは「金融機関というものは、顧客をダマすものなのだ!」という正しい認識を頭に植え付けることなのです。(特に高齢者及びそのご家族は!)
金融機関に勤めたり、身内が金融機関にダマされたことでもない限り、一般の消費者は金融機関の本性を知らないことが多いものです。
そして金融機関の職員が「客をダマした」といった記事を見かけたとしても〜
・「たまたま一部の悪質な職員の話だよね・・・」
・「大半の金融機関職員は真面目に・・・」
・「センセーショナルにマスコミが脚色しているのだろう・・・」
・「その金融商品に固有の問題だろう・・・」
〜などと(独りよがりな常識で)判断してしまい、実際自分が金融機関と取引する時には、全く忘れて役立てることが有りません。
しかし残念ながら、上記の記事に書かれているような状況が、金融機関の営業活動の実態なのです。
ただそのような実態は、なかなか広く周知されることは有りません。
なぜなら金融業界は、非常に巨大な業界であり、金融機関は、あらゆるマスコミ・媒体にとって有力な広告スポンサーである事から、なかなか金融機関に不利益な記事を、多くの人の目に触れるような形で大々的に報じられることありません。
<金融機関は「顧客の利益と業者の利益が相反する」普通の商品販売とは全く違う珍しい商売であることを認識しましょう!>
金融機関は、街の一等地に店を構え、世間的な評価も比較的高いため、ごく普通の消費者は、他の商品販売と同じような認識を持つていることが多いものです。
しかし、金融商品の商売は、「顧客の損 ≒ 金融機関の得」という関係が成り立ち得る非常に珍しい商売であることを知っておきましょう。
たとえば、一個人にとって比較的大きな買い物である「自動車」の場合と比べて見ましょう。
自動車の購入の場合、自動車ディーラーに行き、予算や用途などを営業職員と話し、最終的に購入車種を決めて購入することになります。
仮に営業職員に強引に営業されて〜
・当初考えていた予算より高い車種を買わされたり
・当初考えていたメーカーと違うメーカーの車を買わされたり
〜といったことが有ったとしても、余程悪質なディーラーで、「事故車」や「欠陥車」をダマされて購入させられでもしない限り、「自動車」という商品購入により起こりうる損失リスクというのはそれ程高くありません。
なぜなら「自動車」には、その商品がモノとしての本来の効用が有るからです。
「自動車」という商品には「ドライブに行って家族団欒」「通勤に便利」といったモノとしての効用があるため、何の効用も得られずただ損をするだけという事はありません。
しかしながら、銀行で虎の子の定期預金500万円の満期が来て、その乗り換え金融商品を購入させられた場合はどうでしょう?
「これは儲かりますよ・・・」
「定期預金金利は低いので・・・」
〜等々と説明を浴びせられ、強引に購入させられてしまった場合、その金融商品でタマタマ儲かればよいですが・・・
残念ながら大概の場合、儲かりません。
なぜなら金融機関の職員が薦める「金融商品」は、そもそも「顧客が儲かるから薦める」ワケでは無く、「金融機関が儲かる金融商品」・「金融機関の職員にノルマの課せられている金融商品」を薦めるからです。
その上、投資としての「金融商品」の場合、儲からなければ・・・「自動車」のような商品と違い「モノ」としての具体的な効用が無いため、ただただ金銭的に損をするだけです。
その上、損が出た後にどんなことが待っているかというと〜
・「次こそはこの銘柄で・・・」
・「損を取返す商品をお客様のためだけに手に入れました・・・」
・「今こそ追加投資・・・.ナンピンが・・・」
〜等々と巧みな話術で取引を繰り返させられ、損が膨らんでいくことになります。
結局、言葉巧みに取引を繰り返し、金融機関だけが手数料でガッチリ儲けるだけの話で終わります。
消費者は、(その人にとって)相当大きな被害になって初めて、このままではドンドン損する一方であることに気付き、泣く泣く解約・撤退する・・・ということになります。
金融機関にとっては、こんな状態になった顧客は「死んだ!」と呼んで「サヨウナラ」するだけです。
<金融機関は「悪徳ブローカー」「バクチの胴元」位に思っておいた方が肝要です!>
どうして金融機関は、顧客をダマしてしまうのでしょう。
それは、利ザヤや自己売買による収入を除くと、金融機関が顧客から得る収入源の大半を、手数料に頼っているからなのです。
顧客が投資で儲かっているに越した事はありませんが・・・
特に手数料収入の場合、顧客が儲からなくても・・・もっと言えば、顧客に損をさせててでも、取引きさえ増やせば、金融機関は儲かってしまいます。
このような収益構造は、極論すれば、「バクチの胴元」や「パチンコ屋」などと似たような構造とも言えます。
顧客の利益と金融機関の利益が相反しない収入源として「成功報酬」「ロイヤリティ」的な収入源も金融機関にはあるのですが・・・結局これも顧客の取り分を減らせば、金融機関の取り分が増えるという点では、手数料収入とそれほど相違ありません。
ですから、金融機関の収益構造が何か抜本的に変化しない限り、「宣伝文句」や「建前」はともかく、「金融機関が消費者をダマす」という構図が簡単に変わることは有りません。
このことは、金融機関と相対峙する場合の基本的な心構えとして、高齢者及びご家族の皆様の心に留めて置いて欲しいと思います。
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