高齢化社会の進行に伴い、75歳以上の高齢運転者も増加している。しかし高齢者は動体視力や判断力が低下するのが一般的で、死亡事故など重大な事故を起こしやすいとされる。行政側は昨年、75歳以上の運転者の認知機能検査を強化した改正道交法を施行したほか、運転免許を自主返納すれば“特典”が得られる制度を充実させるなど高齢運転者対策を進めている。
内閣府の「平成29年交通安全白書」によると、75歳以上の免許保有者数は、18年が258万人だったが、毎年増加し、28年は513万人。33年には613万人に上ると推計されている。一方、75歳以上の運転者の死亡事故件数(単独事故含む)は18年以降、410〜470件程度で高止まり。全体の死亡事故件数は減少傾向にあるため、死亡事故全体に占める75歳以上の運転者の割合は、18年の7.4%から28年は13.5%に増加した。
児童が犠牲となるなど高齢運転者による事故が社会問題化する中、行政側は昨年3月、改正道交法を施行。従来は免許更新時だけだった認知機能検査を、信号無視など一定の違反をした場合にも義務付けた。また、免許を自主返納すれば、バスなどの公共交通機関の運賃割引が受けられるといった特典制度の拡充も続けられている。
こうした対策は一定の成果を上げているとみられる。警察庁によると、75歳以上の免許の自主返納件数は29年11月末時点で約23万2千件となり、28年(16万2千件)の1.4倍に増加。75歳以上の死亡事故も11月末時点で376件にとどまり、28年(459件)を下回る見通しとなった。
ただ、公共交通網が貧弱な地方を中心に、自家用車が“日常の足”となっている現状に大きな変化はなく、こうした傾向が今後も続くかは未知数だ。
************************************************************
👀 このような記事をただ素直に読むと〜
「お上も頑張って高齢者運転対策を取っているね・・・」
「免許の自主返納も1.4倍に増加!!スゴイ進展! このままいけば、もう対策は十分かも・・・」
〜なんて思ってしまう方もいるかもしれませんね。
高齢者運転について、何ら対策が取られていなかったころに較べれば、確かに社会問題化し、警察をはじめとする官公庁も批判されることもあり、対策は進められてきています。
そして、それは本当に良い事なのでドンドン進めていただきたいものです。
ただし、高齢者の親を持つご家族の皆さんは、このようなニュースを聞いて、手放しに、安心してはいけません。
例えば、上の記事に書かれている情報で具体的に考えてみましょう。
・75歳以上の免許保有者数は、28年は513万人。
・75歳以上の免許の自主返納件数は29年11月末時点で約23万2千件
↓
昨年より自主返納は、1.4倍増加したとはいうものの・・・4.5%に過ぎません。
認知症については、65歳以上の高齢者の7人に1人(有病率15.0%)とよく言われるところです。
75歳以上ではもっと有病率は高いでしょう。
すなわち、本来運転に適さないと思われる高齢者のうち、まだまだ一部の高齢者が自主返納しているにすぎない状態であるにすぎないことは、認識しておきましょう。
👀 上の記事で「高齢運転者で進む対策・・・」と急に取り上げた背景には、前日の下記の記事の事故が関係していることは明らかでしょう。
↓
************************************************************
<前橋女子高生重体 家族に止められないよう2時間早く外出 85歳の容疑者> 2018/1/11 産経新聞
前橋市の県道で自転車で登校中の女子高校生2人が逆走してきた車にはねられ重体となった事故で、乗用車を運転し自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで逮捕された川端清勝容疑者(85)が事故当日の9日朝、市内の老人福祉センターへ向け、通常より2時間早く出発していたことが11日、関係者の話で分かった。
川端容疑者は半年前ごろから、運転中に車を車庫などに接触させる物損事故を繰り返していたため、家族が運転しないよう諭していた。事故当日も運転しないよう伝え、車のキーを隠そうとしたが、目を盗んで運転したという。
川端容疑者は「気づいたら事故を起こしていた」と供述し、その後も曖昧な供述を続けているという。群馬県警は同日、川端容疑者を同容疑で前橋地検に送検した。
県警によると、川端容疑者の乗用車はセンターラインをはみ出し、右折待ちをしていた車のサイドミラーに衝突。逆走する形で市立前橋高校1年の太田さくらさん(16)=同市高井町=と3年の大嶋実来さん(18)=同市元総社町=を相次いではねた。
************************************************************
👀 警察と新聞・テレビ等の報道メディアとは、ギブアンドテイクの関係性にありますから・・・
前日の高齢者による悲惨な交通事故により巻き起こる社会の批判を少しでも和らげるために、「お上も高齢者運転対策を十分に講じていますよ・・・」という印象操作(マスコミによる忖度)が、かなり入った報道であることは、否めないでしょう。
(マスコミの側が警察に“恩を売った”“貸しを作った”とも言える記事でしょう!)
余りにもタイムリー過ぎますから!
【結論】
高齢の親御さんがいるご家族の皆様!
先ずは、高齢者運転に対する対策は、それなりには取られてきていますが、運転能力の低下した高齢者が運転をしない様にできるという充分な実効性のある施策ではない事を認識しましょう。
その上で、早め早めに家族の問題として取り上げ、高齢者本人の自覚のあるうちに“早期の免許返上”に取り付けたり・・・
本人の自覚に欠ける場合は、ご家族が免許更新時に試験場や警察と緊密に連携し、免許更新を出来ない様に働きかけることが肝要でしょう。
↑
クリックお願いいたします。m(_ _)m