2015年12月25日

<2025年、認知症高齢者700万人>・・・なぜ急増する認知症患者を前提として社会制度は作られないのか?

<認知症高齢者に優しい地域づくりへ、2025年への「新オレンジプラン」 患者数を700万人と推定> 20155/01/27  日経デジタルヘルス
 厚生労働省は2015年1月27日、「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」を公表した(リリース)。関係閣僚会合を同日開催し、認知症施策推進に関係省庁が一丸となって取り組むことを申し合わせた。2015年度の同戦略向け予算案は約161億円。
 日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されている。軽度認知障害(MCI: mild cognitive impairment)と推計される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備群とされる。
 厚労省が今回発表した推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みという。こうした状況を見据え、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現する」(厚労省)ために、2012年9月に公表した「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)を改め、新オレンジプランを策定した。
「認知症サポーター」などを強化
 施策は次の7つの柱に沿って進め、2017年度末を当面の目標設定年度とする。(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進、(2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供、(3)若年性認知症施策の強化、(4)認知症の人の介護者への支援、(5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進、(6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルなどの研究開発およびその成果の普及の推進、(7)認知症の人やその家族の視点の重視。
 例えば(1)では、「認知症サポーター」の増員などを目指す。2014年9月時点における545万人を、2017年度末に800万人に増やす計画である。従来目標を200万人引き上げる。
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👀 あらためて数字を見ると問題の大きさを認識させられます。
認知症の高齢者が推計462万人、軽度認知障害(MCI)の高齢者は、推計約400万人・・・
 これからまだまだ高齢化は進行しますから、本当に大変な事態です。
2025年団塊の世代が75歳以上になると認知症の高齢者が推計700万人・・・

 このような膨大な認知症患者・認知症予備軍が現実に存在しているのに、法制度などが適切に整備されているとは言い難い状況にあります。
「オレンジプラン」とか耳にやさしい政策も進めて法が良いでしょうが・・・
もっと根本的な社会制度は、置き去りの感があります。
たとえば「成年後見制度」を見ると、その利用者数も以下のような状況です。

<成年後見制度の利用者数>  最高裁判所事務総局家庭局
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👀 認知症患者が462万人その予備軍が400万人も既にいる現状で、成年後見制度の利用者数は18万5千人程度に過ぎないワケですから・・・
成年後見利用者が全て認知症患者だと仮定しても(そんな訳は有りませんが)たった4.6%に過ぎません。
これでは、個人的には、実効性ある社会制度として機能しているとは到底思えません。

<認知症の診断を受ける家族の現実>
家族が認知症になった方なら分かると思いますが・・・
認知症の場合、多くは本人に病識は無い(アルツハイマー型は特に)か有っても認めたがらないため、つい家族も「単なる老化かな?」などと問題を先送りして、なかなか医師の診察には至らないものです。
実生活に問題が出始めて、ようやく医師の診断を受け、はじめて「認知症」という診断を受けるケースが多いと思います。
つまり「認知症」という診断を受けた頃には、その本人の理解力や判断力の状態は、総合的に勘案すると「中学生か?贔屓目を無くせば、小学生程度かな?」ということが多いのが認知症患者を持つ家族の実態だと思います。

<成年後見制度の使いずらさ!>
 既に成人としての完全な判断力や理解力は無くなっているとはいえ・・・
完全に事理弁識を失っているワケでもない「認知症」の老人の場合、現在の「成年後見制度」は非常に使い勝手が悪い制度で、認知症の親を持つ家族はホトホト困ってしまうのが実態です。
完全に事理弁識が無くなっているわけではないので、「後見」はまだ少し早い。
しかし、「保佐」「補助」では本人の同意がなくては、家族が代理すらできません。
(認知症の場合、本人は病識が無いので同意しないので、上手く行きません。「任意後見」は尚更です。)

 そして、成年後見制度は、本人の法的能力に制限を加えるという重要な意味合いを持つ制度であるが故に、非常に面倒な事務手続きが必要であり且つ、申請から受理されるまで時間が掛り過ぎます。
私の実感としては、現在の成年後見制度は、本人が全く事理弁識が無くなった状態で、本人の資産を処分しなければならない等の必要が生じた場合には、有効ではありますが・・・
理解力や判断力が落ちた認知症高齢者が、悪徳な金融機関やその他悪徳業者等にダマされることを防ぐ為には、非常に使いずらい制度となっています。
逆説的に言えば、成年後見制度が非常に使いずらいことが、金融機関やその他悪徳業者が認知症高齢者を食い物にする被害が増加し続けている原因の一端と言えると思います

<認知症高齢者の激増を踏まえ、被害救済を優先した未成年と同様な成年後見の有り方の実現を!>
親が「認知症」となり、「成年後見制度」の使いずらさを身を持って体感してみた後になると・・・
未成年者(子供)の後見(親権)というものは、非常に自然で、うまく出来ている社会制度であることがあらためて思い起こされます。
 認知症高齢者が、500万人にも近づきつつあり、今後もますます増え続けることが必至な状況であることを考えると・・・
諸々難しい問題は有るとは思いますが・・・
医学的に「認知症」との診断を受けた高齢者だけでも別枠で良いので「未成年者の後見」のように面倒な手続きが無く、実効性の有る「成年後見」を実現してほしいものです。

👀 他にも認知症への対策が実際には殆んど実効性が無いケースとして、「運転免許」の問題が有ります。
認知症の高齢者は、「免許取消」か「免許停止」という道交法は制定されていますが・・・
実際に、その処分対象となる人数と認知症の高齢者の数を考え合わせると、法律は作ったものの実際はほとんど機能していないのと同じ状態と言えます。
免許更新時の検査など、漸進的に改革は進めていますが、認知症患者の総数と対比して考えると、殆ど実効性のある対策とはなっていないと言わざるを得ません。
 人の生死にかかわる問題なので、諸問題は有るでしょうが、認知症高齢者の権利の擁護中心でなく、被害者を大きく減少させる方向での制度改革を断行してもらいたいものです。
それは結果的には、現状の制度運用では、認知症なのに免許も取り消されず運転できてしまい死亡・負傷事故を起こしてしまう高齢者自身やそのご家族の幸せにつながるものだと考えます。
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<認知症患者による過去の自動車暴走事故まとめ>  認知症ねっと 2015年11月2日
ますます増える認知症高齢者の暴走事故
警察庁によると、昨年8月までの2年間において、高速道路での逆走は447件。約7割が65歳以上の運転者だった。そのうち認知症の人あるいは認知症が疑われる人は、約4割にのぼるという。

改正道路交通法により、75歳以上の運転者が「逆走」や「信号無視」などの交通違反を犯し「認知症の恐れがある」と判定された場合には、認知機能検査を義務づけることとなった。
しかし認知症高齢者の自動車運転による事故は後を絶たず、認知症と診断されながら車の運転を続けている人は、予想以上に多いとみられている。とくにそれは、ほかに交通手段のない地方で顕著であるということだ。

・歩道を約700メートルにわたり暴走、2名死亡 -宮崎市-
10月28日、73歳の男性が運転する軽乗用車が、宮崎市の歩道を約700メートルにわたって暴走。歩行中の女性2人が死亡、男女4人が重軽傷を負うという悲惨な事故が起きた。男性は数年前から認知症の症状があり、症状が出た後、複数回交通事故を起こしていた。

・軽トラックと衝突の男性、運転免許暫定停止に -新潟県五泉市-
7月14日、70代の男性が五泉市矢津の県道で乗用車を運転中、70代女性の軽トラックと衝突。事故後医師の診断を受け、認知症の可能性がわかった。五泉署は、男性の運転免許証を改正道路交通法で新設された「暫定停止」処分とした。

・名古屋高速に自転車で進入?! -名古屋市-
10月8日午後10時過ぎ、名古屋高速出口から自転車を押して歩いて上ってくる老人をドライバーが目撃。通報により駆けつけた署員が、中央分離帯付近にいた男性を無事保護した。1人暮らしで認知症の疑いのある男性(81)は、ゲートのない出口から誤って進入したとみられている。

・軽トラックが下校中の児童3人をはね重傷に -宮崎県えびの市-
昨年11月えびの市の県道で、76歳の男性が運転する軽トラックが路側帯に突っ込み、下校中の児童3人を次々にはねた。認知症の症状があり、医師や家族から運転をやめるよう注意されていたが、聞き入れず運転を続けていた。事故現場から逃走し、事故を隠していたこともふくめ、大きな波紋をよんだ。

・電車線路上を約1.3キロ車で走行 -大阪市-
7月8日午後10時過ぎ、大阪市淀川区の阪急京都線で、電車運転士が、線路上を走る乗用車を発見。電車を全て停止し調べたところ、踏切から脱出し停止していた車と男性をみつけた。73歳の男性は、事件後認知症との診断を受け、不起訴処分となった。

・中国自動車道で、突然Uターンして逆走 -山口県-
夜間、山口県の中国自動車道を鹿児島へ向かっていた77歳の男性は、突如「逃げなきゃ」と思い込み、Uターンして逆走をはじめた。頭がぼうっとしていたという。男性はアルツハイマー型認知症と診断されていたが、妻は「運転は大丈夫」と思っていた。

・朝、川に転落している車を発見、男性は死亡 -京都市-
4月10日午前8時前、嵐山の渡月橋付近で、通行人が「桂川に車が落ちている」と通報。水没していた車の運転席から、京都府在住の男性(71)が発見され、死亡が確認された。事故とみられたが、西京署によると、男性は認知症だったという。

・大分自動車道で18キロにわたり逆走 -大分県-
大分自動車道では、昨年より認知症高齢者による逆走が相次ぎ、80代男性が追い越し車線を約18キロにわたり逆走。また60代の男性は約9キロ逆走し、どちらも本人は逆走していることに気づいていなかった。今年に入ってからも、60代の認知症の男性が逆走中を保護され、「どこから逆走したか覚えていない」と答えたという。

・逆走の乗用車、大型トラックと衝突、死亡 -長野県千曲市-
9月14日午後9時過ぎ、長野自動車道を乗用車が逆走し、大型トラックと正面衝突、運転していた82歳の男性が死亡した。近くのサービスエリアから間違えて侵入したとみられている。男性には認知症の疑いがあり、同日昼頃から行方がわからなくなっていた。
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posted by 隊長 at 16:42| Comment(0) | 高齢者の運転・免許 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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