2013年05月12日

<ゴールドマンを社員が批判、有害で破壊的社風と> ・・・現在の金融機関の本性の典型です。心に留めておきましょう。

<ゴールドマンを社員が批判、有害で破壊的社風と−NYT寄稿>  2012年3月14日(ブルームバーグ)
 ゴールドマン ・サックス・グループを退社する社員が、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)への寄稿で「有害かつ破壊的な」社風を公に批判した。同社の中からここまであからさまな批判が上がったのはこれが初めて。
NYTに意見を寄せたのはグレッグ・スミス氏。同紙によれば、ゴールドマンのエグゼクティブディレクターで欧州での米国株デリバティブ(金融派生商品)事業の責任者。12年勤めた同社を14日を最後に退社する同氏は、社風の変化はロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)やゲーリー・コーン社長に責任があると指摘した。エグゼクティブディレクターは同社で最高の幹部クラスを意味するパートナーやマネジングディレクターよりは下の位置づけ。
スタンフォード大学出身のスミス氏は寄稿で、「デリバティブ販売の会議に出席しても、顧客をどのように手助けできるのかという質問をする時間が1分たりともない」とし、「顧客からいかにどれだけ多くの金をもうけられるかということにのみ集中する会議だ」と批判した。
ゴールドマンに対しては、金融危機を引き起こしながら顧客の負担でもうけているという批判が政界や世間から上がっており、これに社内からの攻撃が加わった格好だ。
ロンドンの人材あっせん会社パーセルの創業者ジョン・パーセル氏は「これは明らかにゴールドマンにとって痛手だろう」と述べ、「心の内をさらけ出した寄稿だ。ひょっとしたら、生涯に必要な資金を既に稼いでしまったので、金融機関に再び雇ってもらわなくても構わないのかもしれない。教職など全く別の世界で働くのではないか」と話した。
<ゴールドマンは反論>
ブルームバーグ・ニュースはスミス氏の携帯電話に連絡を試みたが、これまでのところ返答はない。ゴールドマンは同氏の批判に反論。「当社の見方では、顧客が成功して初めてわれわれも成功する。この基本的な真実が当社の経営の根幹にある」とするコメントを発表した。
しかしスミス氏は「顧客から金をむしり取ることを無情に話している状況は気分が悪くなる」とも記し、「過去12カ月で5人のマネジングディレクターが自分の顧客を『操り人形』と社内メールなどで呼んでいるのを目にした」と明らかにしている。
同氏はまた、ゴールドマンが手放したい金融商品を売りつけるなどの方法で金を稼いだ社員を昇格させる同社の経営陣も批判。社員がいかに優秀でも、顧客はゴールドマンを信頼できなくなれば取引をやめるだろうと警告した。
「社風は常にゴールドマンの成功を支える重要な部分だった。チームワークや誠実さ、謙遜の精神、そして常に顧客のために働くということを中心に成り立つ文化だった。金をもうけるということだけではなかった。それだけでは会社は長く続かない。社内の誇りや信念に支えられた社風だったはずだが、残念なことに、今は働きがいをもたらしてくれた社風はかけらも見えない」とも記している。
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目 金融機関の在り方の現状を端的に表現して見せてくれた良い記事です。
具体的にはアメリカのゴールドマンサックスの話ですが、現在の日本の金融機関の在り方の本質は変わりません。
金融機関の側としては〜
「これは悪質な金融機関の個別のケース・・・」
「大半の金融機関は、こんなことはない・・・」
〜などと言うものです。
しかし、消費者としては、全く逆と思ったほうがよいです。
金融機関の内部者がその実態を話すことは、自分自身や自分の会社の犯罪を暴露しかねないですから、めったに表に出ることはありません。
このような内部告発をしたところで、内部告発者にメリットは、殆ど無いのに、あえて告発しているということだけでも、どちらの言うことが正しいか明らかでしょう。

<日本の金融機関も同じ穴のムジナです。収益至上で冷徹な金融機関の本性を忘れてはならない時代です!>
 「これは米国のケースで日本の金融機関はここまで酷くない・・・」などと思う方もいるかもしれません。
しかし、日本の金融業界も90年代からのいわゆる金融ビックバンによる規制緩和・グローバリゼーションによって、すっかり様相は変わりました。
現在では、米国同様、良かれ悪しかれ弱肉強食(過当競争)・収益最優先という金融業界の構図に様変わりしています。

 バブル崩壊前、規制緩和前の日本の金融業界は、大蔵省主導の「横並び・護送船団方式の業界規制」、「銀証分離をはじめとする業際規制」などの規制が多く、非効率で消費者にとっては多様で低廉なサービスが受けることができませんでした。
ただ、そのような非効率で多大な規制があるために、現在に比べれば、消費者に高リスクな金融商品を提供することは事実上制限されていたため、皮肉なことに結果的に一般的な消費者の安全が担保されていました。
また、規制緩和前は、業際規制が厳しく、「銀行」・「証券」・「保険」・「信託」・「消費者金融」などはそれぞれ兼営ができませんでした。
一般の消費者に一番身近な存在と言える「銀行」では、預金や債権といった確定利回りの商品くらいしか触れる機会はありませんでした。
つまり現在の高齢者にとっては、自分たち現役だったころの経験からも「銀行」というところは〜
「安全・確実」なものだけを扱うところ。
「公務員」の次くらいに信頼できる仕事。
〜といったイメージが骨身に沁みているが当然なのです。

 しかし残念ながら、規制緩和後はそんな牧歌的な時代は様変わりしています。
かつての黒縁メガネで堅物だった「銀行」は、今では「保険屋」「株屋」「サラ金」「信託屋」を事実上直接行うことができます。
つまり、消費者が銀行窓口で投信やら仕組債やら変額保険やら・・・リスクの高い金融商品を売られてしまう時代になっています。
リテラシーが有り、自己責任で判断できる消費者にとっては良い時代になりましたが・・・
理解力や判断力が衰えたり、そもそもリテラシーに欠けている消費者にとっては、本当にいつ金融機関に騙されてもおかしくない時代であることは、十分に認識しておきたいものです。



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