2024年10月22日

<認知症患者の預金、代理権のない親族の出金可能に 全銀協> → 運用変更で、認知症の親を持つ家族を多少でも苦悩から救い出してほしいものです。

<認知症患者の預金、代理権のない親族の出金可能に 全銀協>  2021/2/18 産経新聞
 全国銀行協会(全銀協)は18日、認知機能が低下した顧客の預金を引き出す際、法的な代理権がない親族らの引き出しも認める「考え方」をまとめた。顧客の財産保護の観点から、認知症などによって判断能力が十分ではない人を保護するための成年後見制度の利用を促すのが基本とした一方で、制度を利用できないなどの場合には「極めて限定的な対応」として認めるとした。これまでは親族といえども本人の意思確認が必要だった預金の引き出しに関する慣例を見直す。
 預金の引き出しは本人の意思確認が必要で、親族であっても、引き出しを認めていなかった。認知判断能力が低下した顧客との取引は、成年後見人など法的な代理権を持つ人との取引を基本としてきた。
 ただ、第三者に家族の資産を預ける抵抗感や費用の問題などから、全銀協によれば、成年後見制度の利用者数は2018年12月末で約22万人にとどまる。このため、本人の医療費や施設入居費、生活費などの支払いなどで預金の引き出しが必要でも、親族が引き出せないなどの問題があった。
 今回の考え方では、「医療費の支払い手続きを親族などが代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかな場合に限り、預金引き出しの依頼に応じることが考えられる」とした。本人が認知判断能力を喪失してることは、本人との面談や診断書の提出などで確認するとした。
 全銀協の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は18日開いたオンライン会見で「認知症という社会課題に対する対応を示すことができた」と述べた。
 金融庁は昨年、認知機能が低下した顧客が銀行窓口での預金引き出しで困らないよう、一定のルールを設けた上で親族らによる代理を認めるといった柔軟な対応を求めていた。
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👀 日本が高齢化社会になり、随分日時が経ちました。
当然、認知症を患う人も増え、理解力・判断力が衰えて、自分で銀行取引を行うことが、ままならない高齢者が増えていきました。
当初は、ケースバイケースで対応してくれていた銀行も、融通を利かせて対応した結果、相続時などで銀行がトラブルに巻き込まれることも発生し始めました。
その後、高齢者が認知症であることが判明すると、家族による銀行は取引を認めなくなり、“法定後見人”を立てることを推奨するようになりました。
 しかしながら、この“法定後見人”自体も似たように、当初は家族を法定後見人にとして選任してくれていたのですが・・・
家族後見人の使い込みといった問題が散見されるようになると、家族以外の弁護士などの専門職後見人しか認めなくななってしまいました。
頑張って家族を後見人に立てても、結局専門職を後見監督人として付けられてしまい事実上は同じことになってしまいます。
それでも、専門職後見人が被後見人の為に積極的に働いてくれればよいのですが・・・
実際は、認知症高齢者の資産は殆ど動かせず、後見人の高い報酬を払うだけになります・・・
上記の記事にあるように「〜成年後見制度の利用者数は2018年12月末で約22万人にとどまる。〜」という圧倒的な利用の少なさ(認知症患者≒600万人ともいわれ、その利用率は数%に過ぎません)が、“法定後見人”制度が事実上機能していないことの証左です。

 このような現状で、認知症高齢者の銀行取引に悩み、にっちもさっちも行かなかった家族にとって、今回の銀行の運用の改善は、多少なりとも認知症高齢者の銀行取引を円滑にしうる可能性があり、とても良い傾向だと思います。


👀 2019年に最高裁が専門職による(使えない)法定後見人オンリーの運用を見直す提言があったことも、深刻な認知症高齢者の銀行取引の機能不全状態を多少なりとも解消していこうとする意識の表れでしょうね。
現状では、高齢の親が認知症となり、理解力・判断力が衰えると、家族は銀行取引が行えないという苦悩の沼でもがくことになりますから・・・早く多少でも改善してもらいたいものです。
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<成年後見人には「親族が望ましい」 最高裁、考え方示す>      2019/3/18 朝日新聞デジタル
 認知症などで判断能力が十分ではない人の生活を支える成年後見制度をめぐり、最高裁判所は18日、後見人には「身近な親族を選任することが望ましい」との考え方を示した。後見人になった家族の不正などを背景に弁護士ら専門職の選任が増えていたが、この傾向が大きく変わる可能性がある。
 同日開かれた制度の利用促進をはかる国の専門家会議で、最高裁が明らかにした。これまでは各家庭裁判所が親族らの不正を防ぐ観点から専門職の選任を増やしてきた。だが、制度の利用は低迷。こうした中で、国は2017年に利用促進の計画を策定し、見直しに着手した。利用者がメリットを実感できる仕組みに変える一環として、最高裁は今回初めて選任に関して具体的な考えを表明した。今年1月に各地の家庭裁判所に通知したという。
 最高裁は基本的な考え方として、後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましいと提示。また、後見人の交代も、不祥事など極めて限定的な現状を改め、状況の変化に応じて柔軟に交代・追加選任を行うとする。昨年6月〜今年1月、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会など専門職団体と議論を重ね、考えを共有したという。
※親族後見人の割合は年々減少
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posted by 隊長 at 15:58| Comment(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする