👀 あなたの周りにも、「営業マンに言いくるめられてナケナシの退職金で投信(保険・仕組債)など購入したら大損した・・・」といった高齢者が必ず何人かいるでしょう。
もしかすると、自身の親御さんもそうかもしれませんね。
これから、高齢者が金融機関にだまされてしまうケースが頻発する理由を取り上げて行こうと思います。
<高齢者が金融機関にだまされる構図 → 金融機関に対する認識が基本的に間違っている!> 日本の金融機関のあり方は、1990年代以降大きく変わりました。
バブルが崩壊し、それまでの右肩上がりの経済を前提にした護送船団方式では、どうにも行き詰まってしまいました。
そこで、金融ビックバンにより大幅な規制緩和・自由化が行われ、金融のあり方が大きく変わりました。
特に、2000年代以降、その傾向に拍車がかかりました。
現在の高齢者の皆さんが認識している金融機関と現在の金融機関のあり方は、180度違うものになったと言っても過言ではありません。
<高齢者の銀行像と現在の銀行の実態との違い!> 現在でも高齢者の皆様は、「銀行員」というと「お硬い・・・」「黒縁めがねで・・・」「公務員か銀行員か・・・」といった堅実なイメージを抱いてしまいます。
確かに、それも当然な面もあります。
ついこの間まで、銀行は、少なくとも普通の個人にとっては、普通預金や定期預金といった確定利付きの商品やせいぜい住宅ローンを借りるぐらいの牧歌的な存在でしたから。
それが、現在では、投信や保険といった昔なら保険屋(保険会社)や株屋(証券会社)しか扱わないような商品も、当然の如く扱います。
それどころか、外貨建て仕組債のような高齢者でなくても、顧客はホントに理解して購入しているのか怪しいものまで薦めてきます。
消費者金融(サラ金)さえ(子会社とは言え)銀行が扱っている時代です。
昔は、銀行以外の金融機関は、証券会社は株屋、保険会社は保険屋といわれ、良きにせよ悪しきにせよ、その商売のリスクを現していました。
不動産会社などは、不動産屋はおろか、千三つ屋などと言われたものです。
これでいけば、現在の銀行は、、「株屋でもあり保険屋でもある金貸し」とでも呼ぶのがふさわしい実態になっていると思っておいた方が良いでしょう。
高齢者にありがちな〜
「銀行さんの言うことだから確実・・・」
「銀行さんなら大丈夫・・・」
〜などという牧歌的な時代は、とっくに終わっていることを知りましょう。(ご自身で理解できないようなら、ご家族がよくよく教えてあげましょう。)
三つ子の魂百までではありませんが、まだまだ「銀行さんなら・・・」なんて思っている高齢者は多いものです。
高齢者でも株屋(証券会社)・保険屋(保険会社)・不動産屋(不動産業)・サラ金といった連中には、多少なりともそのリスクが頭にチラつきます。
今では、高齢者の持っている良いイメージを利用できる「銀行」「信託銀行」あたりが、実は一番エゲツナイ商売の仕方をしていることは、頭に入れておいた方が良いでしょう。
<金融機関も「〜屋」さんで認識した方が実態をイメージし易い> 「〜屋」という呼び方を、蔑称だなどという人もいますが、非常にその職を分かりやすくイメージできる良い方法だと思います。(特に高齢者には)
「〜屋」という語感がきつければ、「〜屋さん」でもいいかもしれません。
肉を売るのは「肉屋さん」、魚を売るのは「魚屋さん」・・・
同じように、保険を売るから保険屋さんであり、株を売るから株屋さん。
どうも金融機関というと高尚な商売のように勝手に思いすぎている高齢者が多すぎるように思います。
所詮は、金融機関は、それぞれの金融商品を売り付ける「金融商品屋」と正しく認識していないと、だまされるキッカケになります。
そのような意味では、銀行だけは、なに屋さんかハッキリしない所が、高齢者がだまされる上で、アダとなっています。
とにかく、金融機関は〜
「充実したライフプランが・・・」
「ポートフォリオが・・・、リスク分散が・・・」
「経済情勢が・・・財政が・・・」
〜等々と高尚なことを言ったとしても、その根底にあるのは、「金融商品」を売ること!
金融商品屋さんであることを重々認識して下さいね。
👀 現在の銀行は、高齢者の思うような牧歌的な存在ではなく、生き馬の目を抜くような存在です。
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<山崎元のマネー経済の歩き方> 【第242回】 2012年9月10日
山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
-リスクを体感することの重要性 仕組み債は 悪質なボッタクリ-
わかりやすい金融知識の解説で定評のある吉本佳生氏の新刊『確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり』(講談社ブルーバックス)を読んでみた。投資を考える上では、リターンを考えることよりも、まず、リスクを把握することが大事だということと、リスクを大ざっぱでもいいから、「体感」できるようにするべきだという著者の主張に大いに賛成だ。
では、リスクをどうやって「体感」するのか。この本には正八面体のサイコロの展開図が付いている。これを切り抜いて組み立て、転がすことが推奨されている。サイコロは2タイプあって、リターン変動の2期分の結果を一度に選ぶことができるタイプAと、3期先を1回で得るタイプBが付属している。コインや正六面体のサイコロを使うよりは手抜きができる。
投資教育でリスクを説明するのは常に悩ましい問題だが、「1期先に上がる、そして2期先に……」といった分岐をサイコロを転がしながら、どれくらいの規模の損益が、どのくらいの確率で起こるかを説明するのが、回りくどいようでいて、着実なのかもしれない。
分岐が広がる様子を具体的に見せることで、「長期投資のほうがリスクは大きい」といった、重要な知識を異論の余地なく伝えることができるメリットもある。
長期投資でリスクが低減すると説明するためによく使われる「年率の標準偏差」が、グラフでは投資期間によって縮小し、不適切な見方であることは、この本でも説明されている。
さて、この本および特製サイコロが説明しようとするリスクの対象は、株式や為替のデイトレードと長期投資の比較といった平凡なものにとどまらない。実は、この本で、力を入れてシミュレーション計算の説明をしている対象は、「早期償還条項」と「ノックイン条件」が付いた、仕組み債のリスクの計算だ。前者は、原資産価格(例えば日経平均の値)が判定日に一定の価格を上回っていたら、債券が早期償還されるという条件で、後者は、原資産価格が債券の満期までに一度でも一定の価格を下回ったら、債券の元本が原資産価格に連動するようになるといった条件が典型的だ。
わが国の金融・消費者行政の恥だ
この仕組み債の条件は複雑であり、率直にいって、筆者は、条件を見ただけで理論価格を計算することができない。つまり、この債券を買うと、どのくらい損なのか得なのかが判断できない。もっとも、世間知として、この種の商品が悪質なボッタクリビジネスにすぎないことを知っている。
しかし、こうした仕組み債を「銀行や証券会社などが投資初心者や高齢者にどんどん販売」(前掲書217ページ)しているのが現状なのだ。彼らは、何が判断できて、大切なお金を投じるのだろうか。
この本は、仕組み債の理論価格計算までやってのけるわけではないが、リスクの大きさの把握に加えて、どのような条件が重要かといった、かなりマニアックなポイントについても具体的に説明している(ノックイン価格だけでなく、早期償還の判定期間が重要だ)。
吉本氏は、こうしたデリバティブ商品に関わる訴訟で意見陳述をされているようだが、本書でのリスクの丁寧な説明を通じて、氏の金融業者および監督官庁に対する怒りが伝わってくる。
筆者もこの怒りに賛同する。仕組み商品が個人投資家向けに野放しで売られていることは、わが国の金融・消費者行政の恥だ。この種の商品は「原則販売禁止」とすべきだ。
過去との整合性にこだわるのは全くくだらないことだ。
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